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過積載違反 現状と対策
2017年12月15日
特殊車両の約3割が過積載であり、その件数は近年横ばいで推移し、高止まりの状況となっている。過積載は、深刻な事故の原因になるとともに、道路を劣化させる主な原因となるため、自動重量計測装置(WIM)による取り締まりを強化。また、荷主からの要求や非効率な商習慣が大きな要因となっている状況を踏まえ、荷主勧告制度など、荷主にも責任とコストを適切に分担させる仕組みづくりが行われている。
国交省は11月9日、警察や高速道路会社と合同で、首都圏に流入・通過する過積載車両を一斉に取り締まる「首都圏大規模同時合同取締」を実施。首都圏18か所で実施され、計測車両117台のうち、違反車両48台に対して指導警告や措置命令などを行った。車両総重量の制限値25?に対して、38?(13?超過)の車両に対し、道路管理者から違反者に措置命令書を発出し、通行の中止及び積載物の軽減措置を命令。こうした措置命令が25台に出されている。このように、特殊車両による過積載の違反車両は、平成22年からみても約3割台で推移し続けている。国交省では2020年度をメドに違反車両の半減を目指すため、過積載防止への取り組み強化を進めている。
一般鋼材および鉄鋼製品の輸送を手掛ける森田商運(山田正信社長、東京都足立区)では、20?や29?の大型車両による輸送を30年以上行っている。同社はこれまで、過積載になったことはなく、その実績と経験で取引先からの信頼も厚い。山田社長は「取引先の大手鉄鋼メーカーや大手商社はコンプライアンスを徹底しているため、過積載で運ぶ状況になることはない」と話す。過積載は、荷主からの要求も要因として考えられるが、同社が取引している大手荷主に関してはむしろ、「コンプライアンスの意識がない運送事業者は取引してもらえない」という。
食品輸送をメインに行っているSAJI(千葉県船橋市)の佐治伸一社長は「食品の流通は基本的に容積で計算している」とし、「アイテムが多く、重さまで管理できていないので過積載になりやすい」と話す。取引先の小売り店の多くは、カゴ車の台数で荷量を管理しており、人手不足などもあって荷物の重さまで管理できていないのが現状。それに比べて、食品メーカーからの荷物は、メーカーがアイテムのサイズや重さなどを把握しているため、過積載になることはない。同社では、4?車で食品輸送を行っているが、最大積載量が2・5?と、ほぼ半分の量しか運ぶことができないため、過積載対策として増トン車を購入し、対応している。
独自の配送網を駆使した九州便を得意とする埼九運輸(?橋秀樹社長、埼玉県狭山市)では、荷主から依頼があった場合、最初の交渉で荷物の積載について話をまとめ、過積載になることがない。繁野亮課長は「ドライバーが現場に行って荷主に言われたまま荷物を積み込むことはない。その前段階で、荷主と連絡を取り合って、しっかりと話をつけている」という。また、同社のドライバーは年間教育のなかで、繁忙期の12月に過積載の危険性について教育を受けることになっている。山際力主任は「危険を教えることで過積載に関する意識付けをしている」と話す。
このように、荷主の理解や、事業主による過積載対策が進む一方で、荷主の理解が得られず、対策もうまくいかない事業者も少なくない。フジテックス(大越卓社長、東京都新宿区)が発売した日本初のトラック向け積載量測定センサー「トラックウェイ」は、トラックに取り付けるだけで過積載防止に大きな役割を果たしてくれることが期待される。積載量が最大に到達した時点でアラームがなるのがポイントで、気付かないうちに過積載になるという事態を免れることができる。同製品の営業を担当する中山英夫氏は「リアルタイムでトラックの荷物の積載量を測定することができる」のが特徴と話す。イギリスのVPG Onboard Weighing社が世界的に販売している同製品は、あらゆるトラックに後付けが可能で、最短4時間でトラックに取り付けることができる。荷物を積めば積むほど積載量表示の精度が高まり、90から100%の積載量で、誤差はわずか2・5%以内となっている。
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