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ブログ・小山 雅敬
第135回:荷待ち時間の記録義務化と実務対応
2018年7月17日
【質問】7月から荷待ち時間の記録義務化がスタートしたと聞きました。その背景と実務対応について教えてください。
国交省は5月31日、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を公布し、荷主都合による待機時間が発生した場合に、待機場所、到着時間や荷積み・荷下ろしの時間などを乗務記録に記載する改正を行いました。施行日は7月1日です。改正の目的は、トラックドライバーの業務実態を把握し、長時間労働の改善を図ることにあります。現時点(6月中旬の本稿執筆時点)で記載方法に関する実務的なガイドラインなどは出ておりません。よって新たに記載が義務化された内容の各項目が漏れなく記載されていれば、それで足りると解釈され、その形式は問わないものと判断されます。つまり、日報内の主な経過地点の欄に補記しても良いですし、時系列の表の中に補記しても、備考欄などの空欄に記載しても、またはチャート紙に補記しても良いことになります。
今回の改正で対象になるのは、車両総重量8㌧以上、最大積載量5㌧以上のトラックですから、全て運行記録計による記録が義務付けられている車両になります。よって通常はドライバーの負担が少ない運行記録計への補記によることが多いでしょう。デジタルタコグラフ搭載車であれば、荷積み・荷下ろしの時間はドライバーのボタン操作によって自動的に記録されますので、今後は、ドライバーに荷積み・荷下ろしの際、正確にボタンを押してもらうよう徹底することが重要になります。
一方、アナログタコグラフ搭載車の場合は、荷積み・荷下ろしの時間が自動出力されませんので、チャート紙に手書きで補記することになります。ドライバーの作業負担を極力抑えるため、発荷主や着荷主など(地点)の略称や簡略な記号など、あらかじめ記載方法を企業内で取り決めておくと良いでしょう。今回、負担軽減のため、30分未満の待機時間は記録を省力できることとされました。また記録義務化の対象となる荷待ち時間は、荷主の都合による待機だけであり、その他の理由によるものは含まれません。記録すべき待機時間か否かを判断する必要がありますが、ドライバーだけで判断できない場合も想定されるため、常時決まった業務の場合は、事前に運行管理者とドライバーが実態を共有し、話し合っておくと良いでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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