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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(204)生きつづける精神〈事例A〉
2018年6月26日
〈困難こそチャンス〉
A社には、後継人材がいない。このことが、かえって豊かなものに出会うチャンスとなるかも知れない。永続の可能性にチャレンジすることで、道は開けてくるかも知れない。「倒木更新」は死と生が、隣り同士であることを示している。企業にとっての消滅と永続もしかり。隣り合わせである。隣との隙間に何があるのか。それは意思である。一瞬、一瞬を積極的に生き続けて、チャレンジしていく意思である。あきらめや逃避があってはならない。
A社では、経営理念を確立して、経営スローガンを打ち立て、行動計画を作成した。
①人材育成への取り組み
現状:乗務員が高齢化し、人件費が上昇している。番頭がいない。報告、連絡、相談の社内ルールがなく、会議もない。恒常的に、良質の乗務員不足に悩んでいる。
行動計画:乗務員のやる気を促すために、表彰制度を確立することとした。表彰制度の中身は、無事故、燃料費の節約、高速代の節約、スピードを守る︱︱という、4項目と定めた。それぞれ10ポイントで、計40ポイント。事故ゼロで10ポイント、1件でも事故をすればゼロポイント。燃料費、高速代、スピードについては、それぞれ目標基準を設定して、達成率100%で10ポイント︱︱といった具合に設定した。期間は6か月単位。1ポイント単価は2000円。表彰制度の確立で、乗務員のやる気を引き出そうとした。
A社では、ここ3か年、給料は上がっていない。凍結である。そこで、乗務員一人ひとりに働きかけて、自らの努力でポイントを稼げるようにしたわけである。
そして、乗務員ミーティングをすることとした。5人ずつの小集団を編成して、5班に編成した。ミーティングのテーマは「5S」(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)。毎週土曜日を職場ミーティングの日とした。今までもミーティングをしたことはあったが、続かなかった。
今回は5Sをテーマとし、毎週土曜日と定例化して行うこととした。1つのグループは月1回であるが、5班あるので、職場ミーティングは週1回となり、毎回、社長と奥さんが参加する。いろんな乗務員がいる。一筋縄ではいかない連中ばかり。続けていくことが大事である。
②営業開拓への取り組み
現状:1社のメイン荷主が売り上げの80%を占めていて、従属している。いわば、1社専属形態に埋没している。
行動計画:メイン荷主の比率を、80%から50%に下げることとする。そのためにメイン荷主の仕事は傭車化を進めていく。余った自車について、新規の仕事を獲得していく。傭車化の進展には現行荷主の理解がいる。1台ずつ、じわじわと進めていくこととする。新規の仕事開拓には、社長が先頭に立つ。メイン荷主の物流担当者から、部品の調達先を紹介してもらう。納品代行への取り組みである。積み合わせ輸送への取り組みである。
(つづく)
この記事へのコメント
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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