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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(219)家庭の平和づくり〈事例A〉
2018年10月29日
〈問題分析〉
中心メンバーが口々に指摘する問題点は、実に厳しい指摘である。一口に言って、末期症状か。
しかし、A社長はまじめな人である。本業以外の遊びにうつつを抜かすわけでもない。
①の点は、中小企業の現実である。②は信頼関係。③は給与。④は優柔不断にならざるを得ない経営の現実である。年商額に、ほぼ見合う設備投資を実施して、ワンマンではないとはいえない。優柔不断と言えるのか。中小企業の経営者が大きな〝ユメ〟を持って、チャレンジすることは責められることであろうか。
「社長、毎日本当に忙しくされてますね。人手が足りないというべきでしょうか。損益の把握にまで手が回らないわけですね。営業開拓する時間もないですね」
こうした経営の現実をどうとらえ、どこに戦略を見いだすべきか。A社長の苦しさもよく分かる。中心メンバーの悩みもよく分かる。
「資金繰りが苦しいのでどうしたら良いかということですが、それは利益を上げていくことが基本です。利益を上げていくには、至極当たり前なことを実践することです。一言でいって、〝入るを計って出ずるを制す〟。トップ自ら改革することではないでしょうか。奥さんとの仲も悪いとのことですが、ここから変えていくことですよ。例え、すべてなくなっても自分には家内がいる、といった関係をつくることですよ」
「家内との不仲には深いものがあって、一朝一夕ではどうにもなりません。実は登校拒否の中学2年の長男がいましてね。この長男のことでも打つ手なしの状況です」(社長)
「奥さんが1年前から、例え半日でも手伝いにこられていることを、よい方向に解釈したらどうですか。本当にトコトンまで仲が悪かったら、会社を手伝う気にはならないでしょう」
「いやトコトン悪い。家内の兄である営業部長とつるんで、わたしを棚上げというか、孤立させよう︱︱と、にらんでいますよ」(社長)
「夫婦仲が悪くなったり、長男が登校拒否をしたり、どうしてこうなったんでしょうか。社長も毎晩外食ばかりでは体にも、いいことはないでしょう。こうなった原因は、どこにあったんでしょうか」
「それは、わたしの不徳の致すところです」(社長)
A社長は大きく伸びようとするユメを持ち、その実現へ向けて倉庫建設というチャレンジ行動を起こした。その結果、ギリギリの経営状況を招いている。〝不徳〟ということで済まされる問題ではない。どこから手を付けるべきか︱︱というと、家庭内の平和である。家庭崩壊寸前の状況から逃げ出すべきではない。逃げずに立ち向かうことである。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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