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射界
2018年12月17日号 射界
2018年12月24日
「井の中の蛙」という言葉がある。これと同じ意味で「管を以って天を窺う」もある。いずれも視野の狭さを揶揄したものだが、とかく我々は現況に慣らされて狭い世界に甘んじる傾向が強い。機会があれば異業種の人々らと交流を密にしなさい。必ず「違った世界が見えてきます」と諭している。
▲確かに、日々の仕事は穏やかに大きな変化や障害もなく、平々凡々に過ぎれば、手間もかからず余分なことを考える必要もなく、安楽に過せるだろう。だが時代の流れは容赦なく変化していく。昨日の策が今日も通じるとは限らず、常に「明日(将来)の策」を予見し、それに備えなければならない。それには視野を広げて注意深く、周りを観察する必要がある。
▲しかし浮世の常、全ての人が善人とは言えない。〝きのうの友〟が〝きょうの敵〟に急変するかも知れない。いったん不仲になると相手の悪口を言い出すのが常態ともいう。本来、真の交わりであれば、たとえ不仲になっても悪口など言わないが、期待通りにならないのも浮世の常。苦い思いを味わった人も少なくなく、経験と知識不足を反芻することが多い。
▲不仲相手を口汚く罵るのは簡単だが、その前に人を見る力のなさを深く反省する姿勢が大事であろう。相手を罵れば罵るほど我が身の〝人を見る目のなさ〟を吹聴することにもなりかねない。悪口はいつか相手の耳に届く。中国古典『史記』にある「君子交わり絶つも悪声を出ださず」を思い起こし、いたずらに〝井の中の蛙〟にならないように心掛けたいと願う。
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