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ブログ・青木 正一
第12回:高付加価値化の成功例
2006年5月1日
昔ながらの職人気質な物流企業から、荷主ニーズに応えようと努力し、サービス重視の物流企業へと転換したR物流。その接客・サービス品質の高さによって、さらなる発展を遂げた。
同社の納品、接客、サービスが高品質であるという評判は、地元企業を通じて大手GMSや家電量販店にも響き渡り、配送請負業務は拡大の一途をたどった。この頃には、同社のB社に対する売上構成比は約20%となっていた。
さらにR物流は、これらで培ったノウハウを活かし、自社サービスへの展開も行った。高品質を活用した「引越事業」、建築工事関連ノウハウを活かした「ハウスクリーニング事業」など、次々と成功を納めていった。
この頃になると、『物流企業は配送をするだけでなく、サービスを提供しているのだ』という意識がドライバー同士で確認ができるようになっていた。新人が入社した際の教育や服装のチェックも、ドライバー同士で行えるようになっていたほどだ。
R物流は急成長による多拠点化を行ったため、各支店長クラスの人材の成長が追いついておらず、全社的な連絡体制を問題視している。これについては「管理者研修」を行い、管理能力の底上げを行っている。しかし、現場ドライバーのサービス意識、ノウハウ向上意識が非常に高いため、現場から全社的なレベルを向上できる企業となっており、この課題も克服し今後も成長を遂げるであろう。
今回ご紹介したR物流は、元来、典型的な物流企業であったわけだが、荷主の要望に応えようと努力した結果、自社のノウハウとして蓄積でき、他社にはないサービスの創出に成功した企業である。つまり、荷主にとっての『高付加価値』の提供を実現したのである。
サ在、物流企業にとって『高付加価値』の提供は大きな課題の一つとなっているが、荷主が困っていることや要求されたことに対して積極的に取り組み、自社のノウハウとして蓄積することが『高付加価値』の創出に繋がると実感した事例であった。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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