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ブログ・原 慶之
第5回:中国の物流サービスの質
2006年4月13日
仕事柄、中国や日本から荷物を送る機会がほぼ毎日のようにあります。
そのたびに梱包に気を使います。
こちらでキチンと梱包してから送っているにも関わらず、中国に届いた時には、『中身がボロボロ』ということは珍しくありません。
『お客様の荷物を無事に届ける』という当たり前の業務が、中国では「まだまだだな」と感じることが良くあります。
中国では、外資大手の物流事業者の多くは中国最大手のシノトランス社(中国対外貿易運輸公司)と提携しています。
そのためか、日本では起こり得ぬようなことが起きます。
例えば、物流業者A社に荷物の集荷をお願いするとします。すると、なぜかB社のロゴマークを付けたスタッフがC社の梱包袋を持って現れます。こんなことが普通に起きているのです。
シノトランス社が多くの企業と提携をしているので、当然、シノトランス社の集荷担当者が企業への集荷を行っています。
その日の服がB社であれば、見た目はB社ですが、A社に集荷をお願いしてもC社の梱包材しか手持ちがなければ、当たり前のようにそれを使います。
会社に戻り、それをさらにA社の袋に詰め替えて送っているのかもしれません。このためか、発送ミスが多発しています。
また、海外向けの荷物なので梱包に気を使い、厳重にテープで止め、緩衝材を入れて送っていますが、ここでもおかしなことが起きます。
効率良く荷物を送りたいがために、梱包した荷物を勝手に開けて小さな箱に移し、緩衝材を薄くされて送られてくることがあります。
このため、送ったときの箱と届いたときの箱が違うということがよくあります。きちんと整理し梱包した中身がばらばらになっていることも珍しくありません。
外資、日系と物流事業者の中国進出も進んでいます。
中国の経済発展が進めば、それだけ物流インフラもより重要になってきますから、今後は改善されてはいくでしょう。
しかし、現地では日本では当たり前のことが当たり前でないのが現状です。日本はサービスクオリティが世界で最も進んだ国といえます。
中国全土でなくとも、各地域でしっかりとサービスを行える企業が増え、企業同士のネットワークが構築されてこそ、はじめて中国のような広大な国でも安定した物流インフラが構築できるのではないでしょうか。
日本のサービスの質を、中国で啓蒙活動やコンサルティングしていくだけでも十分価値があるのではないかと思います。
中国の物流事業者が日系企業のサービスを学ぶべき時代はもう既に来ています。当たり前のことを当たり前にやれる日本企業は、中国でも十分その価値を発揮できるのではないでしょうか。この記事へのコメント
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筆者紹介
原 慶之
ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)
ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)は、中国ビジネスにおけるリサーチ事業とアウトソーシング事業を中心とした中国ビジネスの実働部隊。 多くの企業が、実際に中国ビジネスを行う際に直面する様々な壁を、実際の実働と豊富な情報でバックアップし、顧客企業の中国ビジネスを成功へ導くソリューションを提供。 情報、実働、戦略を通して顧客企業の中国ビジネスをバックアップしている。 -
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