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ブログ・野口 誠一
第128回:再起の群像 バブル期の大飛躍
2007年4月12日
当時、バブルの渦中にあってそれがバブルだと気づいた経営者は、おそらく1人もいなかったに違いない。それどころか、バブルがはじけたのちも、「いずれ株価は戻す。地価も反転する」と信じて、待ちの経営、先送りの経営に終始した経営者が、いかに多かったことか。今回から、バブルを実力と錯覚して倒産した経営者の再起例を紹介しよう。
Yさんは昭和57年、42歳のとき脱サラし、エンジニアリング会社を立ち上げた。OA機器を組み立てて自動化・省力化ラインをつくったり、コンベヤー・システムをつくったりという、いわゆるベンチャーである。
もともとYさんは技術屋で、いつかはベンチャーをという希望はあったが、脱サラの直接のきっかけは、会社に対する不満だった。儲かっていないときはガラス張り経営だったのに、儲かりだしたとたん、経営者一族がガラスにカーテンを引いてしまったからである。
Yさんの創業は資本金600万円、従業員は奥さん1人だけというささやかなものだった。初年度の実績も売り上げ1000万円、利益200万円という心細いものだった。
ただ、ビジネスの内容が、顧客にアイデアをプレゼンテーションし、それが通れば受注につながり、受注後は自分で設計し、つくるのは外注というもので、経費はほとんどかからなかった。成否の決め手は一にかかってアイデアと営業力にある。Yさんは日夜アイデアに心血を注ぎ、足を棒にして営業にまわった。
その成果が2年目にしてたちまち表れた。なんと、売り上げが初年度の10倍、1億円にも達したのである。この大飛躍にYさんが自信を深めたことは言うまでもない。
3年目、いよいよ忙しくなり、技術系の社員を3人雇って設計を担当させ、自分は営業に邁進していく。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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