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ブログ・野口 誠一
第152回:倒産の原因と反省点
2008年1月18日
悪いときには悪いことが重なるもの、経済環境もEさんに味方しなかった。いよいよバブル崩壊の悪影響が顕著となり、Eさんの受注はガタ落ち、売り上げも激減、たちまち赤字転落を余儀なくされていく。
こうなると福島工場の設備投資と人員増が、重い負担となって経営にのしかかる。創業以来8年間も無借金、赤字知らずだった健全経営が、その後わずか1年半でピリオドを打つのだから、経営はまことに恐ろしい。
Eさんは経営難に追い込まれ、倒産にいたる前の7か月間は毎月2000万円ずつ赤字が積み重なった。
しかし、いくら赤字でも手形は容赦なくまわってくる。Eさんはくる日もくる日も資金繰りに振りまわされ、経営どころではなかった。
しかし、自転車操業が長続きするはずもない。ついにその日がやってきた。明日の手形を落とせないとわかった深夜、Eさんは弁護士のところへ駆け込み、会社整理を依頼した。平成5年2月のことである。
その後、Eさんは八起会へ入会し再起を目指すが、以下の10項目は彼が自ら挙げた「倒産の原因とその反省点」である。
①経営者としての認識・姿勢が甘かった
②他人任せ、他人の意見を聞きすぎた
③売り上げと支払いのアンバランス
④不正社員の発見、処分の遅れ
⑤経営者として人を見る眼がなかった
⑥取引先や仕入れ先の実態を自分の眼で確かめる努力を怠った
⑦経理上の計数管理に甘さがあった
⑧役員の人選、入れ代えに躊躇した
⑨問題を先送りした
⑩人員と設備投資の過剰に無頓着だった
彼の倒産に関する限り、この10項目に過不足はない。この反省がやがて再起へつながっていく。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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