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ブログ・青木 正一
第114回:話し合うメンバー選定を間違えていないか
2008年2月22日
私は多くの物流企業、荷主企業の会議やミーティング、ときには取締役会などに参加する。ここで常々感じることが、話し合うテーマと、それに参加するメンバー構成のミスマッチだ。
このミスマッチはしばしば、会社を間違った方向に導いたり、適切ではない事柄を決定させてしまう。
例えば、ある荷主会社では、返品の理由を追求し、改善するための「返品理由シート」を作成・導入するために、「理由」として考えられる項目をリストアップしていた。
ここに物流現場のメンバーは不在で、唯一、部長だけが参加している。これでは、実際の現場の状況や意見が組み込まれないシートになってしまう。
あやうく、「先方の理由」「当方の理由」の大きく2つの分類でシートが作成されるところであったのだ。実際は「受注ミス」「誤出荷」「荷受け側のキャンセル」など具体的な理由が存在する。
さらに「受注ミス」でも「聞き間違い・見間違い」「転写ミス」「商品番号間違い」というように詳細な原因がある。このように設定してはじめて、具体的な施策や改善ができる。
また、ある物流会社では、現場管理職向け研修カリキュラムの打ち合わせを行っていた。そこに集まったメンバーは次長、課長、係長クラスの10人。これでは効果のある研修カリキュラムは出来ない。
自分達が受講したいテーマの要望を挙げ、なおかつ、「これは難しいから、カリキュラムからは外そう」などと話し合っている。
そもそも、このメンバー自身をスキルアップさせる研修であるから、当事者がカリキュラム内容を話し合っても、あたりさわりのないテーマしか出てこないのは当たり前。この場合は、彼らを「このような管理職にしたい」、または「このような点がスキル不足と感じている」という上司、できればトップクラスで決めていかなければならない。
極端な例を2つ挙げたが、このように話し合うテーマと、それを決めていくために必要な参加メンバーとのミスマッチは日常茶飯事に行われている。根本的に、トップ1人で決めるべき事柄であるという場合も少なくない。 -
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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