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ブログ・野口 誠一
第159回:バブル後の拝金主義
2008年3月7日
企業不祥事が後を絶たない。というより、雨後のタケノコも同然である。しかも、だんだん悪質化していく。
このところ公共工事をめぐって、橋梁や水門、トンネル、汚泥と、立て続けに談合が発覚し、三菱重工をはじめ数十社が摘発された。天下り官僚を操って税金を食いものにしていたとは、見下げ果てた企業もあったものである。
かと思えば明治安田生命、損保ジャパン、三井住友海上といった大手の生損保が、揃いも揃って契約者に支払うべき多額、多件数の保険金をネコババしていたという。いつから保険会社の商品が「安心」から「詐欺」まがいに変質したのだろうか。
一方、三井住友銀行も負けていない。融資先の中小企業などに、その優位的立場にモノを言わせ、投資信託や金融派生商品を「押し売り」していたという。
弱い者をいじめてまで儲けたいというその体質は、ヤミ金融と大差ない。業務停止処分も当然であろう。
こうした露骨な利益追求主義が経済界を覆いだしたのは、言うまでもなくバブル以降である。バブルは、そしてその崩壊による苦境は、企業から根こそぎCSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス(法令順守)の倫理観を奪ってしまった。
かわって定着したのが、とにかく儲かればいい、儲かるなら何をしてもいいという強欲拝金主義である。
ホリエモンも村上ファンドもその申し子と言っていい。そして相次ぐ企業不祥事も同根と言っていい。それほどバブルとその崩壊は、悪い意味でわが国経済に劇的変化をもたらしたのである。
八起会の会員のなかにも、バブルに翻弄され、その崩壊によって倒産を余儀なくされた経営者は少なくない。次回から、彼らがそこからどのように再起したか、その実例を紹介しよう。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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