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ブログ・野口 誠一
第361回:全社員がフルに働く
2012年5月21日
Mさんの報告はなおも続く。
──私は社員の声に励まされ、がぜん、やる気を起こしました。そのとき役立ったのが、会長にアドバイスしていただいた「問屋根性を捨て、小売りにも進出すること」と、「管理部門の社員をどんどん外に出し、全社員をセールスマンと化すこと」の二つでした。
小売りが「いける」との感触を得たのは、これも会長に言われた通り、暮れの3日間、本社前の路上で小売りしたところ、45万円もの売り上げがあったからです。本社前の道路は人通りのあまりないところで、売れるかどうか半信半疑でしたが、会長の言われた「人なんか集まってくるから大丈夫」の言葉を頼りに売り出したところ、本当に人が集まってきたのです。これには驚きました。
なかには、「前々から欲しかったんだけど、問屋さんだから売ってくれないと思っていました」などという近所の人もいて、とても好評を博しました。以来、この路上販売はずっと続けています。雨の日には倉庫の中に移したり、近所にチラシを配ったり、ときには団地にも出かけ、紹介があれば、各企業で社内販売なども行っています。
これらはすべて会長のアドバイスによるものですが、月に50万円ほどの売り上げになり、手形決済の問屋にとっては何よりの「日銭」で、日々の細かい支払いに役立っています。こうなると管理部門の社員も外へ出ざるを得ません。いまや荷造りや商品整理は手の空いた者が行うようになり、時間帯によっては、社内に経理の女性一人だけという「オール・セールス」体制が整い、全社員がフルに動ける形が出来上がりました。
──以上がMさんの報告である。こうしてMさんは倒産寸前からよみがえり、その経営はいま順風満帆である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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