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ブログ・野口 誠一
第362回:大変化へ巻き込まれ
2012年5月28日
経営に現状維持はあり得ない。現状は刻一刻と過去へ織り込まれていく。そして次々に新しい現実が押し寄せてくる。その変化に対応しながら収益を上げ、勝ち残っていくのが経営である。それができない会社、経営者はたちまち負け組、淘汰を余儀なくされる。
バブルの生成と崩壊、その後に続く「失われた20年」の間に、日本の経済・産業構造は大転換を余儀なくされた。終身雇用、年功序列、株式持ち合い、系列、護送船団など、経済大国をもたらした日本的経営はことごとく砕け散り、グローバル化の波が押し寄せ、デフレがどっかりと居座り、会計基準も企業統治も様変わりした。
その大変化を乗り切るために、日本の経済と企業が払ったコストは計り知れない。株価も成長率もゼロ近辺を低空飛行。13行もあった都銀はいまやたったの3行。百貨店もほとんどが合併、集約され、単独で生き残るデパートは皆無に等しい。
こうした厳しい冬の時代にあって、中小企業はバタバタ潰れた。大変化に対応できなかった結果ではあるが、対応能力をはるかに超える大変化であったとも言える。わが八起会会員の多くは、この大変化に巻き込まれ、武運拙く倒産を余儀なくされた経営者たちである。八起会では折りにふれ、彼らの倒産体験を発表してもらっているが、それを聞くたびに、この20年の変化がいかにすさまじかったか思い知らされる。今回からそうした発表の一例を紹介しながら、経営がいかに環境対応業であるかを考えてみたい。
Yさんが父親の急死によって、栃木県下の製麺会社を継いだのは平成7年である。が、平成18年、努力もむなしく倒産。次回からその間の事情について、Yさんの発表に耳を傾けたい。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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