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ブログ・小山 雅敬
第121回:人手不足時代に運送会社が着手すべき取り組みポイント
2018年1月2日
【質問】深刻な人手不足に直面しており、人が集まる会社にするため経営管理全般を見直したいと考えています。しかし、どこから手をつけてよいかわからず着手できない状況です。今、運送会社が人材戦略の観点で経営を見直す際のポイントを教えてください。
人手不足対策として、とかく求人広告やHPなど、募集手法のみに関心が向かいがちですが、そもそも人が集まらない大きな理由は、働く職場としての魅力が乏しい、もしくは求職者に魅力が伝わっていないことにあります。この問題は、求人票やHPなどの作り方を工夫すれば解決するようなものではなく、地道な経営改善で会社の魅力を増す取り組みが必要になります。
人手不足に対応して、どのような観点から経営改善に着手すればよいかを次に列記します。今、運送会社が行うべき経営改善の観点は大きく分けて三つあります。それは①労務管理面の整備、②求職者への伝え方の整備、③受け入れ態勢の整備、の三つです。
①は根本的な対策であり、内容は就業規則をはじめとした社内規程や労働契約書など労務管理における基本的事項の整備、人事評価制度の見える化・賃金体系の整備(特にコンプライアンス面から見た改善)、長時間労働の是正、休日・休暇の見直し、退職金制度の検討や福利厚生制度の充実化などが挙げられます。これらの改善は簡単ではなく、経営トップの強い決断が必要です。しかし、問題点を放置したまま、単に募集手法だけを検討しても、その効果は限られます。見栄えの良い求人広告を見て入ってきた人材も、内情を把握した途端に辞めてしまいます。
②は募集手法に関する取り組みです。求職者へのアプローチ方法、社外への伝え方を改善する必要があります。求人票の書き方、求人広告の作り方(インターネットの求人情報サイトを含む)、自社HPの整備、会社説明会の実施、説明用ツール類の整備、募集看板の設置、ポスティングなどの検討、車体求人広告の検討、自動車教習所との連携などを検討し、実行します。
③は入社した社員をサポートする体制作りです。管理者の意識改革(新人指導方法)、コミュニケーション向上策の検討、ブラザーシスター制度の検討、設備の改善(更衣室、トイレ、その他)などが挙げられます。
近年急増する労務トラブル対策を考慮すると、本来は①を先行整備し、次に②③に進むほうが無難ですが、①の整備には半年以上の期間を要するため、①~③を並行して早めに進めるほうが現実的でしょう。
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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