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物流ニュース
アデコ 「コンプライアンス講習サービス」を開始
2007年9月11日
総合人材サービス大手のアデコは、物流・製造企業を対象に、派遣・請負業務に関する「コンプライアンス講習サービス」を開始。
社会問題化する偽装請負・偽装派遣などが発生する要因に「現場担当者の(法に対する)認識が不足している」ことが挙げられると見た同社が、持てるノウハウを最大限に活かしてサービスを展開する。
オンデマンドジョブサービス部生産管理課の藤牧法義課長に話を聞いた。
「派遣を『使う側』が、派遣制度を理解していない」—。
このことに危機感を持つ同社では、以前より顧客企業に対して「勉強会」を開催していた。
「現場の指揮命令者や、企業の法的業務を担当する総務や人事など、コンプライアンスに関わる部署の方々に対して説明を行っていた」。
外資系企業の同社はコンプライアンスへの意識がもともと高く、さらに日本版SOX法が施行されたこともあり、その徹底ぶりは「違法性の高い企業は、取引をお断りする」というほど。
勉強会の開催にあたっては、この企業風土が存分に活かされたという。
あくまで「サービス」として始めた同勉強会だったが、反響が非常に大きかったためこの夏より体系的に事業を展開することになった。
内容としては、依頼のあった企業に対して講習会を実施。「派遣」と「請負」それぞれの定義や仕組みを説明する。
「あらかじめアデコの担当者が依頼企業の現場を訪問し、問題点を把握した上で現状に沿ったアドバイスを加える」という。
なお、講習会の開催のみであれば費用はかからない(遠方の場合は交通費が発生する場合あり)。
「講習会」のオプションとして、適正化へ向けた改善コンサルティングを有料で行う。たとえば、派遣・請負に関する法律は解釈によっていろいろな受け取り方ができるため、「現状の(派遣会社との)取引内容は法に則っているのか」を不安に思う事業者は多いという。この不安を解消すべく、「こういった場合は大丈夫か」といった具体的な相談に対してアドバイスを実施する。「すべて労働局や弁護士に毎回確認をとった上で助言を行う」のが特長で、「派遣・請負を利用される事業者に安心感を持ってもらう」ことを目指す。
加えて、指揮命令状況や現場の体制などを検証し、現場の問題点を抽出する「現場検証」や、契約書をはじめとする「帳票チェック」、現場改善を推進するための「現場検証アドバイス」、請負契約を安全に締結するための「請負コンサルティング」がある。アデコの担当者が定期的に依頼企業を訪問し、ブースで相談や質問を受け付ける「カウンセリングルーム」サービスも。これらの有料サービスも非常に反響が大きく、「予想を遥かに上回るペースでご発注をいただいている」。
あいまいな「請負」契約で「派遣」のように働かせる「偽装請負」が社会的な問題となっているが、同社の規程では「請負契約を締結する際は、70以上もの帳票が必要になる」と、あくまで法に則った「適正な」「リスクを充分に回避した」契約を信条としている。
同課長は、「派遣会社、発注企業それぞれが法を知らないために、意図せず『偽装請負』になっているケースもある」と業界を取り巻く現状を指摘した上で、「そうならないためにも、一度ご相談いただければ」と話す。
同社はこれらのサービスを通じ、「派遣会社としての信頼性をさらに高めていく」のが狙い。
同課長は、「いまは、企業が自らの分野で専門性を高めることで競争力を磨く世の中。物流のプロである皆さんに、派遣・請負のプロである私たちができるお手伝いをしたい」とし、「このサービスをきっかけとして、みなさんと一緒に適正化へ向けて改善を進めていければ」とアピールする。
詳細は同社HP、http://www.adecco.co.jp/
<参考>
「コンプライアンス講習サービス」
講習会では、「派遣」と「請負」、それぞれの定義とその区別について理解を深める。
講習項目としては、派遣業務について「労働者派遣法とは」、「労働者派遣業務の範囲」、「派遣が自由化されている業務」、「期間抵触」など。加えて、派遣労働者との契約内容や、日常業務の中でのやりとりにおける注意事項を解説する。
請負業務については「労働省告示37号(派遣と請負の区分について明記)に関して」、「請負のメリット・デメリット」、「請負契約のコンプライアンス」、「法的に整備する必要のある書類」などに関して説明。実際に「偽装請負」となったケースも、具体例を交えながら解説する。
(村上千秋記者) -
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