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物流ニュース
軽減税率の影響 松屋など外食事業者がサービス強化
2019年12月25日
10月1日から消費税が10%になったのに伴って、日本で初めての「軽減税率」制度が導入された。軽減税率の対象品目の一つである「食料品」は、飲食店など店舗内で食事をすると税率が10%となるが、持ち帰りやフードデリバリーなど宅配の場合、税率は8%に据え置かれる。そのため、宅配需要の増加を見越して、外食事業者の多くが持ち帰りや宅配などのサービスを強化している。
持ち帰りに関しては、牛めしの「松屋」、とんかつの「松のや」など全国に1169店舗を展開している松屋フーズホールディングス(瓦葺一利社長、東京都武蔵野市)が11月5日、大手IT企業グリー(田中良和社長、同港区)に設置した「松屋自販機」が注目されている。
同社では2020年4月から、弁当自販機「松屋自販機」を展開するが、本格展開を前に1号機がグリーに設置されている。ここでの販売状況などをもとに、自販機の改良や新たにICカードなどが使える販売機の開発を進めている。
1号機の「松屋自販機」は現在、「生姜焼丼」「牛重」「牛カルビ丼」といった商品を毎日60食以上販売している。商品は松屋の持ち帰り専用サテライト店舗から1日2回・午前と午後に自社配送で納品している。
同社は「松屋自販機は好評で、来年の展開を前に多くの問い合わせをいただいている」とし、「軽減税率制度のスタートで、来年からの本格展開が忙しくなる」と、自販機事業に大きな期待を持っている。
また、フードデリバリーなど宅配需要が増加するなか、外食事業者の宅配を請け負う出前館(中村利江社長、東京本社=同千代田区)が好調で、加盟店舗数が1万9911店舗(前期比15・7%増)と増え続けている。
同社は今年、創業20年を迎え、新たなチャレンジのステージに立った。そこで、11月28日には旧社名の「夢の街創造委員会」から「出前館」に社名を変更。地域の生活とビジネスをアップデートする企業を目指している。
同社の主力である出前館事業は、加盟店舗数の増加とともに、アクティブユーザー数も全国に約300万人と増加。18年9月〜19年8月の年間オーダー数は約2845万件と成長を続けている。
これに加えて、10月からスタートした軽減税率制度をきっかけに、同社には利用者だけでなく飲食店からも「軽減税率を機にデリバリーを始めてみたいという問い合わせが増えており、デリバリーへの関心が高まっている印象がある」という。
デリバリーコンサルティング本部の清村遙子本部長は「多くの人が日常食でデリバリーを利用してくれるように、軽減税率制度のスタートを機に、デリバリーが身近で、手軽で、便利なものだということを、今まで以上に認知してもらいたい」と話す。
実際に、同社の加盟店の半分以上が日常食のジャンルになってきているため、「出前館オーダー管理アプリ」とPOSレジアプリの連携やデリバリー特化型容器を開発するなどデリバリー対応店舗へのサポートも拡充している。
同社が進めているシェアリングデリバリーは、宅配の足を持たない飲食店の宅配代行を行う宅配サービスで、配達効率の向上を実現するため、直営拠点の展開を加速するとともにサービスエリアの大幅拡充を図っている。
清村本部長は「出前館は、単なる食事のデリバリーサービスから、これからの日本に欠かせないライフインフラになるということを中長期の目標に掲げている」とし、「軽減税率を一つのきっかけとして、シェアリングデリバリーの展開を加速していくほか、食べ物以外で生活に必要なものも届けてきたい」と考えている。
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