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ブログ・船井総研ロジ
第107回:アスベストリスクへの見解が変化
2011年8月30日
アスベストは繊維状の天然鉱石で、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れています。その特徴を活かし、建設資材をはじめ様々な用途に使用されていました。アスベストは肉眼で見ることができないほど小さくて軽く、一度肺に吸引すると肺癌や中皮腫といった健康被害を及ぼします。現在も多くの建築物内に残留しています。その総量は4,000万トンとも言われています。
またそのリスクは健康被害だけでなく、関係する人に対し、様々なリスクとなって降りかかってきます。例えば、廃アスベスト収集運搬業者であれば「運搬中のアスベスト飛散リスク」があります。行政にも「監督(管理)」というリスクがあります。しかし、一般的にはアスベストの存在による健康被害リスクにのみ着目される傾向が強いようです。対策業界では価格競争が激しくなっており、不法投棄問題もメディアで見受けられることも多くなっています。
そんな中、最近アスベストリスクに対して様々なリスク観点から対策を講じようという動きが出てきています。東京都に株式会社AGUA JAPANという会社があります。この会社はアスベスト処理製剤のメーカーで、一液(商品)でアスベスト除去から飛散防止まで施すことができる製剤を製造しています。そして、圧縮機を使用することで従来の廃アスベストを約1/4まで減容固化することができます。つまりこの製剤を利用した廃アスベストは通常の処理金額の1/4で済むということです。これにより無意味な価格競争による二次被害の防止へとつながることでしょう。また、この製剤を使用し減容された廃アスベストは固化します。つまり飛散リスクも大きく低減するのです。
様々な関連者が持つリスクを如何にゼロに近づけるか。今後のアスベスト対策において重要な観点です。地方自治体の中にはそのようなリスク観点からアスベストと向き合おうという自治体も出現していることからもそれは明らか。今、アスベスト見識の変化が起きているようです。
(株式会社船井総合研究所・小川宏明)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は10年9月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
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本コーナーでは、船井総研ロジ株式会社による リレー連載を掲載します。
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