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  • ブログ・花房 陵

    時間を意識した仕事

    2007年7月15日

     
     
     

    ●時間は盗まれるもの
    ミヒャエルエンデ『モモ』という児童書を読んだことがありますか。女のお子さんがあれば、
    小学校の指定図書なのでご存じかも知れません。エンデは「ネバーエンディングストーリー」
    で映画になったドイツの作家です。ハリポタを想像するようなファンタジーの大家です。
    小説モモは変わった女の子、モモを主人公にした「時間ドロボー」との対決を著しました。子
    どももおとなも、セカセカとした現代を振り返り、本当に大切なモノを探す旅を続けます。フ
    ァンタジーも英雄物語のシナリオを使って、街からの脱出、旅に出て戦い、生還するというお
    話です。
    登場するセールスマンは人々からムダな時間を買い上げてくれます。おしゃべり、食事、遊び
    やちょっとした瞬間も積み上げれば莫大な時間になるよ、「どうです。その時間を貯めておき
    ませんか、買ってあげますよ」と灰色制服のセールスマンが町中で説得を始めるのです。
    方やモモは町の人の悩み事を聞くだけで、ほとんどお話もしません。ただじっと、時間を経つ
    のを忘れて人々がモモに語りかけ、自らが答えを見いだすのを待つのです。まるで話題のメン
    ター、コーチングテクニックそのものです。
    人に許された1日、一年で25600分は誰にでも共通です。その時間を豊に過ごすか、しっ
    かり稼ぎながら有意義な人生とするのか。はたまた回りの人に指示され、そのために使わされ、
    ムダにため息を付くような時間を過ごすのかは、大事な視点です。放っておくと、人に大切な
    時間を盗まれてしまうのです。
    ●物流の仕事はサービス業だから
    私たちの仕事は瞬間、瞬間が大切です。同じ仕事は明日、もう取り返しがつかないのです。
    作業や配送も一回だけなのです。サービス業はその宿命があって、生産や販売とは全く違うの
    です。やり直しができない、という点では「その瞬間の時間」を絶対に大切にしなくてはいけ
    ません。
    売上と経費も時間の問題です。配送回数や処理個数も時間の原価がかかっています。売上は料
    金単価が決まっていますが、それも原価を元にして決めています。1時間でどれだけ運べるか、
    どれほど処理できるか、だったら幾らにしておけば良いのか。
    利益も時間の管理次第で増やせる、ということが真理なんです。売上が少なくて、経費が多け
    れば利益が下がります。だから単価を上げよう、給料を下げてしまおう、というのは短絡思想
    ですね。
    100万円の売上があるなら、どれほどの経費でこなすように計画するかによって利益は決ま
    ります。終わってみなければ分からない、というのなら自分の時間を誰かに盗まれています。
    ●生産性とは時間の把握です
    一人あたりどれほどの仕事量があるかを生産性と言いますが、本来は時間あたりの出来高です。
    集品作業、加工作業、積み込み、配送、およよすべての物流の仕事は時間との勝負です。
    だったらみんな時間を意識して仕事をしているはずです。
    「これだけの仕事だから、○時までに終えよう」というのが、計画の基本でこれで利益が確定
    します。先月の実績と昨日の実績が分かれば計画が立てられます。午前中の実績を比較すれば
    問題点の発見もできます。
    そんなことは当たり前だから、と思われるでしょうが、物流現場に時計のない職場もたくさん
    ありました。今日の作業計画が生産性に根ざした目標を設定していない現場もたくさんありま
    す。目標のないところこそ、利益が出ない、ミスが多い、儲からないと問題指摘をします。
    時間を計る人がいない、そんなはずはない。タイムマネージャーこそ物流管理の基本だからで
    す。担当者、センター長、配送マン、物流部長は毎月の総時間、総工数を記録できていなけれ
    ば、一体どんな仕事をしているのでしょう。
    ●時計があるか、作業予定に終了時刻が、明日の工数は
    物流現場の基本に時間生産性を取り入れているなら、このような資料や現物を見ることができ
    ます。なければ、すぐにでも始めなければなりません。
    時間を盗まれればその分、損しています。皆に期限の習慣がなければ、忙しい、忙しいと時間
    が過ぎてゆくのです。そして、様々な問題点を生み出します。
    忙しい、人手が足りない、間に合わない、残業が減らない、やり直しが多い、ミスが出る。
    料金競争で儲からない原因の多くは、時間管理のまずさにある現場は多いのです。
    同じ料金でもきちんと利益管理ができている現場は、あちこちに時計があるし、作業記録に時
    刻が書かれています。もちろん、最新の生産性データが分析されているモノです。
    25600分は誰にも与えられています。お金を稼ぐなら天から盗め、とも言います。
    特別な努力や苦労、必死にやらなくても真剣に自ら与えられた時間を大切に管理すれば、その
    他の人よりも会社よりも、優れることができるのです。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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