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  • ブログ・花房 陵

    競争の手段、営業のあり方

    2008年1月24日

     
     
     

    ●原油高騰、原価が上がって競争できない?
    物流事業者にとって税金、燃料代、高速道路料金など、必然的な原価要素があります。
    どれもが上がれば経営は厳しい、では上がらなければ経営は楽かというとそんなこともない。
    つまり競争しているならば、条件が同じなら、「厳しい」という意味もまったく同じになります。
    物流活動の保管や荷役、配送の原価は多く、確かに燃料代の占める割合も低くはないでしょう。
    そこが年額で数百万円も突出すれば、経常利益を圧迫するのは明らかですが、しこうして
    燃料値上げは競争相手も同じこと。協調路線の確保という余地があります。
    出来ない理由に挙がるのが、「大手は辛抱しても中小は我慢できない」という資本に負けると
    いう理由です。つまり、原価の上昇分は利益を削りこんで耐えているに違いない、という中小の
    やっかみです。
    ならばすべては資本のパワーに勝ち目はなく、大手と対抗してきた自負がなくなります。挑戦
    する前に覚悟していなかったことを悔いれば良いだけになります。
    競争とは自分の覚悟と競合の出し抜きでした。同じことをするなら競うとは言いません。同じこと
    をただ安く請け負うなら、競争ではなくダンピングと呼んで卑下されてきました。
    料金を競うのは、規模と運営の工夫を反映させて総額を上げるための単価下げ、というマーケテ
    ィング手法です。単価下げだけなら営業とは呼べない打算でしょう。
    ●条件が同じなら、工夫やアプローチを変える
    競争とは同一条件下での運営アイデアやプロセスの工夫で勝負してきたはずです。
    工程の設計ややりくりで、従来の方法を否定しながら、新しい提案でビジネスを獲得してきました。
    原価条件の変更もウチだけなら嘆きも泣きも入りますが、そうではない。ならば、昔に戻って新たな
    設計、運営アイデア、プロセスの工夫を考えなくてはいけないのでしょう。
    そのことを「変わる、変える、変わらせられる」というのではなかったのでしょうか。
    物流活動の原価で最大なのは、時間人件費です。時給単価のことではなく、作業に関わる時間数
    と作業に必要な人数×時給の総額です。
    輸送事業でもトラック代よりドライバーの人件費が高い。決して高給ではないけれど、運賃収入のほ
    とんどは給与と管理者人件費に消えているはずです。次に多いのが油脂代、車両費でしょうが、
    人件費の原価構成がもっとも大きいはずです。
    だから、人件費を抑制できないからつらいのではなく、売上げが足りない、時間をかけすぎている、
    運転時間が少ない、待機が多い、管理者が余分、手待ちが長い、・・・・時間に関わる運用の工夫
    が探しきれていない現実があります。
    燃料代の50%アップより、時間の10%カットの方が原価効果が高いはずなのに、売上げ&時短
    の運営改善が遅れています。
    ●原価の分析=科学的な経営アプローチ、現場が担当することです
    営業は営業、経営管理や係数分析は本社、現場は現場、役割があるから機関が分かれていると
    はいえ、緊急事態とも言える総動員競争状況では、全員営業、全員管理、全員経営の姿勢を打
    ち出すことが必要でしょう。
    「細かいことは分からないが、ただ黙っているだけ」というドライバーや倉庫マンなら、文句も言えま
    せん。「厳しい!」と口に出したなら、状況を把握し、分析の手伝いを行い、改善のアイデアを苦労
    してひねり出す覚悟が必要です。
    時間を節約することが、別の売上げや営業に協力できる。一人で一日30分節約できたら、全社で
    いったいどれだけの時間に積みあがるのか。計算できますか。
    物流は作業も輸送も時間生産性が大事、という常識がありながら、どれほど時間を無料で使ってき
    たことを反省すれば、燃料代の上昇影響は半分以下に抑えられる計算になります。
    生んだ時間で営業する、前倒し作業を行う、今まで出来なかったフォローアップをする、点検を充実
    させ事故やミスを予防する、・・・・・・物流の不名誉である「不良品質のコスト」をきちんと積み上げれば、これは原価高騰以上のものであることは間違えがなく、計算したことがないだけなのです。
    科学を現場や経営に活かしきっていない、情報システムで分析できていない時間の有効活用とムダ
    の発見は、一時的な我慢や利益の削りだしで凌ぐという方法よりも価値があることです。
    競争が激しく、需要も増えず、原価も上がるなら、景気回復による神風は吹きません。
    放置しても何も改善できず、愚痴が増えるだけです。見落としをなくし、ミスを防ぎ、時間を短縮して
    効果ある運営に切り替えることで改善を積み上げることしか、競争も継続もできないことに覚悟を決
    めなければなりません。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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