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  • ブログ・花房 陵

    物流ITの忘れ物

    2008年6月15日

     
     
     

    物流情報システムが花盛りです
    WMS,TMSなどの新型システムが積極的に導入される現場が増えています開発や販売をされる物流システムセールスもセミナーやプレゼンに忙しく立ち回っています。
    車両管理にGPSが付いたり、携帯電話の「今どこ」サービスと連携させたりで、手軽に低コストで道具が増えてきました。話題の無線タグも実験レベルを終えているようですし、まもなくここ彼処で使われるようになるでしょう。
    景気が回復して物量も増えてくると、作業精度や効率化のために社内企画も通りやすい時期になります。プレゼンテーションでは「大幅なコストダウン」という説得力にも力が入ります。
    ○1000万台、20000カ所でトラック、物流センターに可能性がある。
    従業員100名以上の4万社に物流システムが導入されるでしょうし、走行中の1000万台に車載端末や運行管理のシステムが予備軍にあります。ITと物流は縁が深く、また企業の最終形にもITと物流が残ります。あとは抜群に優れた経営者がいれば、企業はアウトソーシングで製造も販売も可能になってきました。
    システム導入の切り札は「物流コストダウン」とうたわれますが、そこに大きな疑問と不満があります。よく皆さん決断されるなと驚きます。
    ○コストダウンは本当にできているのか?
    情報システムを導入すると、人海戦術や手作業で行っていた業務が効率化と合理化が進むのは事実でしょう。精度も上がるし速度もそうです。でも、システム導入前後は実際には比較ができないし、効果が少ないからといって後戻りややり直しがききません。あくまでも仮定の話、悪く言えば作り話にすぎません。
    人海戦術や手作業の本当の運営コストが把握できているのでしょうか。
    物流情報システムを導入することによる、運営コストの積算根拠が本当に正しいのでしょうか。調査不能や分析未了が多い中で、「省力化効果」の計算は本当なのかな、と不安になりませんか。
    例え導入効果を省力(人減らし)で測ったとして、情報システムに付き物の次年度移行の保守、セキュリティ、バージョンアップなどの追加費用は投資回収の計算に含まれているのでしょうか。実証できないことが多すぎる。
    ○物流ITは、導入したとたんにコスト効果が終わるもの
    ごく簡単な在庫管理と作業支援のシステムなら、省力化効果で圧倒されて導入決意をすることが多いでしょう。曰く「40人の作業者を半減できる」なら、運営人件費の削減で投資回収は充分にペイできますから、売る方も買う方も共に満足できますが、物流の業務改善効果はシステム導入の直前にもだいぶ大きな効果を出しているし、また導入しない場合でも同じようなコストが続くとは限りません。つまり、比較効果が積算できないのが事実。
    そうはいっても疑いは少なく、確実に省力化は実現できるはずです。しかし、それは導入の瞬間で終えています。昔40名、今20名とシステムなら、OKなのでしょうか。「システムを使うこと」のコストと効果を忘れているような気がしてなりません。
    ○情報システムは設備か道具か
    設備は資金で測ります。経費と算出効果で性能を見るもので、機械がそうです。
    1億円の機械設備はアウトプット額で評価されます。道具は人が使うことで熟練や手慣れからアウトプットは徐々に高まります。ツールとは言いますが、物流システムをツールと見なしていることが少ないことが気になります。コストダウンにツールとなっていないのではないか。
    導入初年度と次年度以降のコストダウン効果を上げるためのツールではなかったのか、と気がかりです。
    できるはずなのに、測っていない。測らないで、保守費、バージョン費、機能追加費が掛かるから、「システムは金食い虫」と思われること頻繁です。
    ○物流システムが金を生むしかけ
    物流コストダウンは、単価と回数、時間の管理で行うものです。中小企業庁から無料で提供されている『物流ABCソフト』では、運輸と倉庫でそれぞれが分かりやすいマニュアルと共に公開されました。
    作業記録、配送日報、物量、時間の計測で、荷主別、商品別の物流コストが正確に算出されるようになっています。だから、物流コストダウンは省力化効果ではなく、物量と時間の計測ができなくてはならない。
    そうすれば、システム導入から毎月、毎年コストダウン効果がきちんと計算できるし、道具としての使い勝手を上げることができる。さらに、在庫分析や偏重、過剰、陳腐化までも時間や量で分析できれば、在庫削減効果も年々上がるはず。
    そうすれば、毎年の保守やバージョンアップの経費もどんどん通りやすい。
    システムは道具として、時間と量をコストとの関係で測り、効果を積算すればいいのに、そのことはあまり意識されていない。
    導入プレゼンテーションでも省力化効果ばかりで、運営効果のコストダウンを忘れているような気がしてなりません。
    買ったとたん、導入した瞬間で効果が薄れるなら、ちょっと慎重な人は迷いますね。そのことをもう一度ブラッシュアップするなら、もっと導入速度が上がるでしょう。
    ○使い込むほどコストが下がるシステム
    精度が上がることも不良コスト回避になります。速度が上がることも、在庫や売掛、買掛のキャッシュフローに影響します。在庫金額が下がり、売掛の不突合いが減って回収が早まれば、運転資金に莫大な余裕が生まれます。
    在庫削減は金利効果ではなく、運転資金の返済につながります。買掛のサイトを伸ばすには何が必要ですか。
    未検収という作業精度ですよね。発注の速さですよね。物流システム導入の影響は、倉庫だけの問題ではなく資金の動きにも効果があるはずです。そこを攻めれば、導入担当者だけでなく経営陣も納得するはずでしょう。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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