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  • ブログ・高橋 久美子

    第401回:私たち経営者が奪っているもの

    2019年5月27日

     
     
     

     トラック20台以下の運送会社のアドラー心理学について話をしてきました。

     

     さて、今まで1オン1の具体的な手法を細かく見てきましたが、すでにコーチングの本質に気づいた人もいるかもしれません。そして、同時に私たちの過去のコミュニケーションやマネジメントの落とし穴も見えてきたのではないでしょうか。

     経営者である我々は、何か問題を見つけては解決したいと思います。何かができていない人を目の前にすると、注意したりアドバイスをしたり、やり方を教えたくなってしまいます。悩んでいる人がいると解決策を提示したくなります。経営者ですから効率を最優先したいと考えます。

     ところが、コミュニケーションや育成というテーマでは、これら一見すると効率的に見える行為が、長期的に見ると逆に非効率であることが見えてきます。

     注意された人は、同じことを何度も繰り返しますし、悩んでいると思って解決策を提示してあげても、ほとんどの人はそれを実行に移しませんよね。また、別の問題を見つけては、以前と同じように悩みや不満を持ち続けているのではないでしょうか。

     私たち経営者が、よかれと思ってアドバイスしたり教えたりしていることが、本人が奥底に持っている「問題解決能力」や「思考する機会」を奪ってしまっているということに気づいた人も多いかもしれません。

     いよいよ困り果て、助けてくれる人がいなければ、自分で思考して解決策を見つけ出すしかありません。本当なら、そうやって自分で思考し、トライ&エラーを繰り返していきます。そして人は、その過程でしか、身に着く学びや成長を得ることができません。

     私たちが先回りして教えてしまうと、「身に着かない」「やらされ気分になる」というわけです。同じ答えでも、自分が思考して、自分で導き出した答えなら行動できるし、自分の「身につける」ことができるわけです。

     日本の教育は「答えが一つ」という、思考よりも暗記重視のスタイルです。これにより、多くの人が「考える」より「覚える」を重視してきてしまいました。結果、思考が苦手な人だらけです。

     今まで数回にわたり解説してきた1オン1は、本人が「自己対話」をサポートする姿勢です。ただ「寄り添う」だけが役割です。「答えを教えること」ではなく、「答えを出すために自分で思考すること」を体験してもらいます。これを繰り返すと、そのうち、何か問題が起きたときには思考して解決することができる人材に成長します。何年も口を酸っぱくして注意をしてきたことも、自分で気づくことで、初めてあっさりと変化できるようになります。一見、非効率的に見えたとしても、自分で思考してもらうきっかけを作るほうが結果的に早いというわけです。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    高橋 久美子

    あなたの会社が儲かっていない本当の理由
    規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。

    全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会

     
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