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ブログ・高橋 久美子
第310回:2016年以降の業界予測と運送会社がとるべき戦略とは(2)
2016年2月15日
先週から、トラック20台以下の運送会社がとるべき戦略を、2016年からの業界予測を交えてお話ししています。
今後、昔の高度成長期の時代のように、日本国内に製造工場が増えることはありません。公的資金を投入してまで、製造業を支援する政策も掲げられていますが、ちょっと考えてみて下さい。あなたが製造業者の経営者だとしたら、はたして、地代の高い日本に工場を建設し、人件費の高い日本人を雇うでしょうか?
地代と人件費が高いだけではありません。労働者を守る法律が異常なまでに過保護な日本では、労働時間を長くすればブラック企業と言われるし、ストレス発散の面倒まで見てあげないと、鬱病になってしまいます。
そのうえ、日本の労働生産性は先進国の中で20年以上も連続最下位です。つまり、同じ時間労働しても、日本人のほうが成果物が少ないのに、給料だけは高い、ということになります。
のらりくらりと長時間働いたうえに、「こんなに長い時間がんばって働いているんだから、もっと給料をよこせ」と言われるわけです。そして、高額な地代家賃がかかります。
このような日本と、人件費が安く、働く意欲がある若い労働力があふれている東南アジア圏と、もし、あなたが製造業の経営者なら、どちらに工場をつくるでしょうか。多くのメーカーが日本の工場を閉鎖して、東南アジアに製造拠点を移したのは、経営視点からすれば当然の選択です。
残念ながら、いくら「モノづくりニッポン」を叫んでも、今後、高度成長期のあの頃のように日本に多数の製造工場が復活することはありえないのです。
工場が増えないということは、つまりは企業間輸送が増えない、ということです。そして、それは今後、トラックで運ぶべき荷物が増加することはない、ということを意味します。
需要と供給の原理からいうと、荷物が増えないのですから、運賃を増やすには、トラックを減らすしかありません。では、どのトラックを減らすのか? その答えと根拠を来週お話します。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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