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    経営再生物語(291)人材育成について(8)A社の事例(1)

    2020年6月1日

     
     
     

     ・家族の大切さ

     

     人材育成について考える場合、家族の大切さがある。企業において様々な研修を実施しても突破できない壁がある。常日頃の経営コンサルティング活動で実感する。いくら熱意を持って研修を行っても、つきつめていえば、伸びる人は伸びるし、ダメな人はダメである。

     この壁とは何か。要は、本人がその気というか、やる気にならないと、いかなる働きかけも力を発揮しない。それでは、やる気を促すにはどうしたらいいか。企業という枠での様々な動機づけだけでは不充分である。やはり、家族の大切さということがある。

     A食品製造会社は社員数100人の中小企業である。製造課長B氏のケースで、この家族の大切さについて考えてみる。B氏は勤続20年。40歳で中卒、まじめにコツコツと働くタイプで、家族は妻と高校3年の一人息子がいる。B氏のまじめさを会社は高く評価して、このたび製造課長に昇格させた。

     しばらくは特に問題は発生しなかったが、3か月くらいから表面化しだした。B氏は課長職に悩みだしたのだ。B氏「部下の20歳の女性2人がいうことを聞いてくれません。文句ばかり言います。ラインが動いている時は仕事をしますが、ラインが止まったらタバコをぷかりぷかりで、ジュースを飲んでブラブラです。ラインが止まっているのだから検品作業をせよ、といっても知らんぷりです。この女性はパートですが、本当に手をやいています」

     幹部の研修を行っていた私に対するB氏のぼやきである。「女性、しかも20歳のパートに対して何を悩んでいるのか。もっとしっかりしたらどうか」と私は内心呟いた。この女性の扱いがうまくいかなくなって、B氏は悩みだした。

     人の心の奥は読めないものだ。私が内心軽く思っていたら、大間違いで、何とB氏は、その女性達とケンカして、昼から職場をほっぽりだして家へ帰ってしまった。B氏「もう嫌になりました。会社を辞めます。嫁さんとも相談しました。〝お父さんが、そんなに悩んでいるのなら、好きにしなさい〟と言ってくれました。もともと私は課長になるタイプではありません。中卒ですし、本も満足に読めないし、単なる職人です。女性の気嫌をとって働くのはまっぴらゴメンです」。自宅を訪問した工場長に訴えた。A食品製造会社でB課長の担当する製造現場は、女性が20人で男性はB課長と主任の若手社員という構成。しかも女性20人は全員パートである。常識的に考えて、40歳で勤続20年の男が辞めるとまで思い詰めるとは、とても考えにくい。しかし、事実は事実で、B氏の決意は固い。        (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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