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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(88)経営活性化シリーズ37

    2015年2月6日

     
     
     

     (37)値決めの大切さ



     運送業において、休車は経費増で収益圧迫の要因になる。営業努力とドライバー確保で車両を稼働させていくことは、運送業の経営の原則である。車両を稼働させようとすると営業活動が不可欠であるが、新規案件に直面した際の値決めには、経営管理者は真剣に収益をシミュレーションした上で、それを瞬時にスピードをもって決定する力が求められる。

     新規案件を何が何でも受注したいから絶対に通る価格で値決めしてしまうと、後で自分自身の首を絞めることになりかねない。「ウチは利益の残らない仕事はやらない」という言葉も聞くが、悲しいかな利益の残る仕事は世の中には溢れるほどないのが現実である。厳しい仕事がほとんどである。利益の残る仕事が出るまで車を遊ばせておいても無駄にしかならない上に、値決めを失敗した単価で受注した仕事は収益赤字で苦しくなる。まさに八方ふさがりの状態である。

     値決めは、安易に決めずに真剣に考えてはじき出さなければならない。ほとんどは単価面で厳しい条件下の仕事ばかりであるが、そのような案件に直面した場合には、組み合わせすることができないか、積み合わせはどうか、経費を落として対応できないかなど、精いっぱいの努力でもって採算ベースに乗せられるイメージが作れるかどうか、また、そこまですることによって先があるのか(新たな高収益の仕事につながるなど)を判断して値決めしなければならない。逆立ちしても採算に乗らないと判断する場合には、断ることも必要である。

     運送業の経営管理者の値決め力は、収益の未来を左右する重要な能力である。これを鍛えるには、普段から収支表を把握することである。この把握するという努力が、値決めの必要が出た際に収支のシミュレーションを実行して、自社にとって有利な値決めを決定して通していく交渉力につながっていく。

     新規案件が出た時には世間相場がどうだからとかではなく、自社の現状に即して瞬時に値決めできる力を発揮して対応すること、それを実行にするには普段の収益把握の癖を身につけることが大切である。

     今こそ運賃交渉(値決め)のチャンスである。ドライバーが不足している。賃金アップせざるを得ない。賃金をカットする時代ではない。さらに社会保険料のアップ、労働時間規制などと重圧が押し寄せてくる。跳ね返す道は値決め力の強化である。荷主に隷属して物言わぬようではならない。物言うべきである。運賃交渉力(値決め)をアップすることである。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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