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ブログ・小山 雅敬
第234回:ドライバーの評価制度を2024年に向けて全面的に改定したい
2022年8月9日
【質問】わが社の人事評価制度が社内で不評であり、「煩雑で作業に時間がかかり、評価がしにくい。」との声が高まっている為、2024年に向けて全面的な改定を検討中です。最近の運送会社におけるドライバー評価制度の傾向について教えてください。
「評価制度」は労務管理上極めて重要であり、運送会社は賃金制度の如何に関わらず必ず導入して社員の処遇に反映すべきです。ただし、運送会社の評価制度(特にドライバーの評価)に他業種の一般的な評価制度(例えば典型的な職能給体系の評価制度など)を誤って導入してしまうと、外見は良いが現場では使い物にならない無用の長物になってしまいます。
それらは評価作業に多くの時間を要するだけでなく、被評価者の不信感を増幅し、やる気を削ぐ結果になることがあります。ドライバーの評価は①わかりやすく②納得感があり③評価者の好き嫌いが入らない、の3点が特に重要です。
また自己評価制度は評価者(特に一次評価者)が本人評価を正しく修正してフィードバックできる管理能力と説明能力を持たないとうまく機能しません。
さらに2024年問題を控えて、今後は労働時間の削減を推進する必要があり、煩雑な制度に作業時間をかけるわけにはいきません。そのような事情から最近の運送会社における評価制度見直しは「業績評価」制度を中心に据える方向で行われています。業績評価制度は会社が客観的に把握できる実績値でのみ評価し、上司評価は加点項目のみに絞る方法です。
例えば事例を挙げると以下のとおりです。①事故の有無(内容、回数、実損額、影響度)②作業ミスの有無(内容、回数、影響度)③洗車回数(社内ルール以上)④燃費改善状況(前期比等)⑤安全運転評価点(デジタコ評価点の平均)⑥改善基準告示の順守状況(拘束時間、連続運転時間等の順守度)⑦勤怠実績(欠勤、遅刻等の有無、回数)⑧会議参加状況(100%が基準)⑨懲戒の有無(始末書等懲戒の有無、回数)、以上を基本項目として、上司加点項目(①配車への協力度、②荷主評価③特段の加点項目(人命救助、ドライバーコンテスト等の業務関連表彰実績、業務改善提案の採用実績等)を付け加える方法です。
2024年以降は働いた時間より効率性や業務実績が重視されますので、「生産性」を貢献度として正しくとらえることが重要です。
評価者の恣意的な評価になりやすい定性評価は加点評価のみに絞り込み、大半を管理部で把握可能な項目に設定することで評価作業にかかる時間が大幅に短縮され、ドライバーの納得感も高まります。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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