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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第9回:営業所新設の法令上の注意点
2013年11月4日
安倍政権による経済政策により、円安・株高が促され、企業に回復の兆しがある中、「事業拡大のため、営業所を新設する」とお考えの運送事業者様もいらっしゃるかと思います。そこで本稿では、一般貨物自動車運送事業者が営業所を設置する際の法令上の注意点について、お話しをさせていただきます。
一般貨物自動車運送事業者が営業所を設置する際は、事業計画の変更について、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。その認可を受けるためには、営業所の建物が貨物自動車運送事業法に規定される基準を満たすものである必要があります。例えば中部運輸局では、営業所について次のような審査項目と適合基準を設けています。
(1)使用権 申請者が、建物について1年以上の使用権限を有するものであること。
(2)立地条件 都市計画法、建築基準法、消防法、農地法など関係法令に抵触しないものであること。
(3)規模 事業の遂行上、適切な規模であること(適切な規模とは、およそ10平方㍍以上の占有できる広さをいう)。
この三つの審査項目のうち、(1)使用権と(3)規模については基準が明確なので特に問題ないと思います。注意が必要なのは(2)立地条件です。この立地条件を満たせず、認可を受けることができないケースとしては、次のようなものが例として挙げられます。
ア.第一種低層住居専用地域にある空家を購入して営業所にする。
イ.市街化調整区域にあるアパートの一室を借りて営業所にする。
ウ.農地転用の手続きを経ていない農地に建物を建築して営業所にする。
アは建築基準法、イは都市計画法、ウは農地法に抵触しているため、このような営業所を設置するという事業計画変更申請をしても、認可されることはありません。事業計画変更認可申請をするためには、営業所の賃貸借契約書の写しや登記簿謄本を提出する必要があります。
つまり、既存の自社(自己)所有の建物を利用する場合を除き、建物の賃貸借契約を締結した後や、建物を建築・購入した後に事業計画変更認可申請をしなければならないということです。それが認可されないということになれば、当然、損害が発生することとなります。
事業拡大で、営業所の新設をお考えの事業者様は、都市計画法、建築基準法、消防法、農地法など関係法令の確認を怠らないようにしましょう。
(大野裕次郎・名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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