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ブログ・野口 誠一
第346回:明日のために苦しみなさい
2012年3月26日
以下もNさんの体験発表である。
──法的整理を弁護士に託し、私たち夫婦は身を隠しました。友人の家に2か月ほどお世話になったある日、家内が野口会長の本を買ってきました。そこには会長がボランティアで、倒産した人や倒産しそうな人の相談にのっていることが書かれてありました。私は即座にハラを決め、キョトンとしている家内をせき立て、その夜のうちに東京行きの深夜バスに乗りました。翌朝9時、私は上野から八起会へ電話を入れました。会長が電話に出て「どうぞ」と言って下さり、私はその足で八起会を目指しました。
野口会長は私の命の恩人です。もしも会長に出会えていなかったら、今日の私はありません。相談にのっていただいたばかりでなく、着の身着のままで上京した私たち夫婦に住むところを見つけて下さり、仕事まで紹介して下さいました。社長になって以来、何一ついいことのなかった私にとって、奇跡とも言っていい深い情けでした。
とくに、債権者集会を控えてビクビクしていた私にとって、会長が八起会で模擬裁判を開いて下さったことは、どんなに私の不安を取り除いてもらえたか計り知れません。その1か月後、私は1回目の債権者集会に出席しました。裁判所の内にも外にも、その筋とわかる人たちがたむろしていました。裁判はあっけなく済みましたが、何となく異様な雰囲気を察したか、裁判所が私を裏口から出してくれるというひと幕もありました。
こうして私の整理はすすみ、やがて免責になりました。今は会長の「同じ苦しむなら昨日のことにではなく、明日のために苦しみなさい。まだ若いんだから頑張りなさい」という言葉を励みに、夫婦二人で明日へ向かっています。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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