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ブログ・高橋 聡
第301回:令和時代の運送業経営 歩合設計編(98)
2025年11月27日New!!
【歩合給設計編】98
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号は前回に続き「歩合給設計編」として時間外上限規制(2024年問題)への給与設計面での対応について解説してまいります(その8)。
1.適正な歩合給の設定が求められている背景
前回、歩合給の性質が問題になる事例を解説しましたが、なぜ歩合給の性質に焦点があたるようになったのでしょうか?
いくつかの要因はありますが、大きく「司法判断、未払い残業代請求」「24年問題」「最低賃金上昇」の影響があります。2.歩合給制が問題となった背景
(1)司法判断、未払い残業代請求の影響
大手引越会社の裁判では、売上基準や件数基準の手当や無事故手当などに関し「歩合給」ではない、という判断がなされています。歩合給の性質が争われた判例は少ないなかで、このような判断がなされたことは重要です。また、このような判断がなされたことで「未払い残業代請求」内容証明郵便も同判決を根拠としたものが増加しています。(2)24年問題の影響
1運行〇〇円、売り上げ×〇%という計算でなされていた給与計算に、24年問題の影響で「時間把握」を行い、「時間基準」で計算することが必要となった点も、歩合給制に焦点が当たった背景といえるでしょう。また、時短を進めるうえで歩合給が有効な手段となることは多くの運送会社で検証されています。24年問題への実質的な取り組みは25年度以降であることからも、給与制度で時間短縮を進める目的で歩合給を活用することはあり得るでしょう。
(3)最低賃金上昇
25年の最低賃金は平均63円アップしました。貨物運送事業法改正による適正原価方式の導入などにより運賃上昇は見込まれますが、中小運送会社の営業収入に寄与するには時間を要します。最低賃金上昇と法改正の影響による営業収入増の間には数年のタイムラグがあることが想定されます。歩合給は、歩合給総額÷総労働時間数で求めた単価が最低賃金対象になります。このことは急激な最低賃金上昇への対策となります。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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