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ブログ・上西 一美
第158回:刺激求める声も ドライブレコーダー映像の「間違った使い方」
2026年2月28日
日本事故防止推進機構(JAPPA)の上西です。
研修で「もっと大きな事故の映像を見せてほしい」「死亡事故のドライブレコーダー(DR)を流したい」といった要望を受けることがあります。しかし、私はそれでは事故は減らないと考えています。
衝撃的な映像は一瞬のインパクトはあるものの、映画と同じで「怖かった」「すごかった」という感想で終わってしまうからです。研修の目的は驚かせることではなく、運転行動を変えることにあります。
実際、事故映像を見せて「気をつけましょう」で締めくくる研修は多いのですが、それで事故が減るなら、YouTubeで事故動画を見ている人は皆、安全運転になっているはずです。残念ながら、現実はそうなっていない。恐怖だけでは人の行動は変わらないのです。
DR映像の本当の価値は、事故の瞬間ではなく、その直前にあり、どこで判断を誤ったのか、どの行動が分岐点だったのかを具体的に考えさせることが重要です。車間距離、速度、視線、確認の有無。こうした日常の運転行動と結びつけて初めて、DR映像は事故防止の教材になります。
私は25年以上、DR映像を使った事故防止に関わってきました。だからこそ断言できるのが、DR映像は使えばいいというものではなく、間違った使い方をすれば、ただのエンターテインメントになってしまうということです。
映像は手段であって、目的ではない。運転行動をどう変えるのか、その設計がなければ、どれだけ衝撃的な映像を見せても事故は減らないのです。そこを見誤らないことが、事故防止の第一歩だと思っています。
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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