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    オムロン(後編)「『見える化』で価値ある環境対策を」

    2009年7月7日

     
     
     

     オムロン(作田久男社長、京都市左京区)の提案するCO2削減ソリューションは、サプライチェーン全体を見渡してCO2「見える化」を実現する。特に「物流分野におけるCO2削減に関する企業価値を高めていきたい」としている。昨年のエコプロダクツと今年のNEW環境展に出展。事務所や生産現場、物流まで全体のCO2を「見える化」させるソリューションを発表した同社。メーカー系物流子会社などからも反響があった。


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    NEW環境展に出展
     物流分野のCO2算定方法は改正省エネ法のトンキロ法を採用している。ただし同社のソリューションは、従来はみなし値で計算していた部分を、実際の計測した数値で算定するようになっており、より現実を反映したデータにして見える化している。
     特に荷主には「見える化」が重要という。運送会社でエコドライブを実践していても、荷出しがバラバラで非効率な物流を行っていればCO2は削減できない。荷主に見えなかった部分を見えるようにすることで、荷主と物流会社との双方向での改善策が検討できる。
     実測には3つのアプリケーションを使う。1つ目はGPS機能を持った携帯端末で移動距離や位置情報、加速度など車両の走行情報を把握する機能。2つ目は重量計測装置で、普通に走行して通り抜けるだけでトラックの積載重量が計測できる装置。3つ目がナンバー読み取り装置で、車両の情報を管理する。これらの実測で得た情報から、トンキロ法で実際のCO2排出量を算出し、さらに分析して改善策を見つけ出すのだ。
     社内のテスト計測では、これまでに見えなかったトラックの積載状況が明らかになった。トラックの庫内に6割は積んでいるだろうと思われていたが結果は4割。従来のみなし値との差が2割もあったのだ。
     実測によって返却のパレットや無駄な緩衝材など余計な積載が多いことが分かった。たとえば環境対策としてダンボールの梱包からオリコン(折りたたみコンテナ)に替えていたが、無駄な隙間がある状態で輸送されていたことになる。オムロン製品の物流は部品輸送なので形が不定形で、適切な大きさのオリコンは少ないという。環境対策で実施したことが、CO2の実測では逆の結果になってしまった。
     こうした部分が分かるようになるのがCO2を「見える化」する効果で、ここからCO2削減を目的として荷主、物流会社、運送会社が取り組むと好結果をもたらす。1箱いくらの運送契約を結んでいる場合に、運送会社の選定は運賃など物流コストの比較となり、物流コストの安いところだけを優先するようになる。
     しかし、荷主がCO2削減の責任を果たすために、物流部門のCO2「見える化」に取り組むと、荷主側はCO2削減によってもたらされる効果が理解できるので、物流会社の選定も運賃だけではない判断基準が加わる。
     オムロンはCO2「見える化」で荷主が事実に気付くことが大切とする。荷主と物流業者が実測を元に改善していくことが、価値ある環境対策を生み出せる。CO2削減ソリューションの今後の展開が注目される。
    (千葉由之記者)
    → オムロン(前編)「CO2排出量の『見える化』を可能に」
    → オムロン

     
     
     
     
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