【岐阜】「この会社は『愛』で成り立っている」。１８４cmの長身でいかにも頑強そうな印象を与えるＬＡＮ（羽島郡岐南町）代表の呉訓知氏。その風貌に似合わず飛び出す言葉は社員を思う気持ちに溢れている。

１９８９（昭和６２）年９月、呉氏は１９歳の時にドライバーとして大手運送会社へ入社。２６年間勤務したのち２０１３（平成２５）年に同社を立ち上げた。自身は「町工場の社長」をイメージし、皆で力をあわせて仕事をする現場づくり、社員と家族のための会社づくり（家族主義）という確たる意志をもって創業。退職金制度や誕生日のプレゼント、クリスマスケーキの支給などを当初から続けている。

社名のＬＡＮはＬｏｃａｌ　Ａｒｅａ　Ｎｅｔｗｏｒｋの略で、地場でつながりをつくりたいという思いを込めた。現在は尾張・浜松・可児に営業所を展開し、「社員の通勤が楽になり、客先との距離も近くなった」と呉氏。拠点は増えても社員との距離は変わらず、定着率の良さは強みの一つ。「日曜日は必ず会社にいる」というのも、休みの日に相談に来る社員がいるかもしれないからだ。

創業から１１年、右肩上がりの成長を続ける同社。「社員と家族のおかげ」と感謝を込める呉氏は、トラックを降りても働き続けられる環境づくりの一環としてグループの軽貨物事業にも力を入れている。今期（２月決算）の売上高は単体で１１億３０００万。中期目標として創業２０年で２０億円を目指す。そのため、常日頃からアンテナを高く張り情報収集に余念がない。

「ここで働いて良かったと家族からも言ってもらえるように」。ＬＡＮは社員と家族の幸福度を上げるための会社――規模を拡大しようとも、呉氏のその信念は変わらない。

◎関連リンク→　株式会社ＬＡＮ