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物流ニュース
送料は青天井? ECサイトで購入後、25万円の請求
2020年3月18日
2月末に神戸市内に住む会社経営の男性が、インターネット市場を介して取り寄せた体温計の「配送料および手数料」が、本体価格の10倍にあたる25万円に設定、請求されていたことが分かった。男性は、市場を提供した大手EC(電子商取引)サイトや消費生活センターに問い合わせたが、法外な配送料の返還に関する明確な回答は得られなかったという。通販やECサイトなどを介した購買形態が激増した平成に販売競争力の源泉として跋扈(ばっこ)した「送料無料」が激変。購入者の誤認を誘導しながらの「送料青天井」の時代に入ってしまったかのように映る。
男性は2月末、経営する会社の業務運営のため非接触型体温計を5つ、大手ECサイトで購入した。重症肺炎を引き起こすコロナウイルスの感染拡大を受け、わずか数秒で体温を測れる型の体温計がほしかった、という。
購入後に確認のため送信されてきたメールを目にして「びっくり」! 5点の本体価格の合計が2万4900円だったのに対し、「配送料および手数料」として、本体の10倍以上に当たる「25万円」の表示があったのだ。
男性がその後、ECサイトの運営会社に取り消しを請求。「配送料は返金されるのか」と問い合わせたところ、「現品を返送してください」の言葉しか返ってこず、後日にカード決済される見込みの配送料に関しては言及がなかったという。
兵庫県立消費生活総合センター(神戸市)にも救済手段についての問い合わせを入れたものの、「他にもそういう事例があるようです」との趣旨の回答しか3月上旬現在、得られていないという。
男性は本紙に「同じECサイトは日ごろからよく使っており、送料はいつも無料になっていた。同じサイトで購入しており、送料についての記載や額も見ていなかった。不注意だった」と話す。また、決済手段に関して「カードを止めると他の決済も同時に止まってしまう」と話し、カードを止めることはできないという。
今回のECサイトには、購入者との売買をサイト運営者自身が直接実施する直売の仕組みがある一方、商品の売り主にサイトの機能を貸し出すショッピングモールのような機能もある。男性が日ごろ使っている直売の中では、会員登録をしていれば送料は基本的に無料。一方で、ショッピングモール機能の仕組みでは「送料および手数料」は売り主側自身で設定する仕組みになっている。
男性は、非接触型体温計は購入した時期には直売方式の中には見当たらず、連動するショッピングモールの仕組みのほうから購入したという。
消費者庁の伊藤明子長官は4日の記者会見で、送料で利ざやを稼ぐようなEC取引について、「常識からかけ離れたもの(送料)についてはプラットフォーマー(サイト運営者)の方に、よく配慮してみていただきたいというお願いを、私どものほうからさせていただいている」と話した。また今後の対策として、「今回のような緊急の事態(コロナウイルス感染拡大)において、そういった行動をされるというのは残念。今後どういうことがやれるか関係省庁とも相談していきたい」とした。
消費者庁が昨年12月に立ち上げた「デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備当に関する検討会」には、買い主としての消費者からのキャンセルに関する相談として、「キャンセル料・返品に伴う送料への不満」として86件が上げられている(2018年4月から6月)。
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