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物流ニュース
【特別座談会】ニーズ高まる「TAPA」(2)
2008年12月10日
高額商品の盗難や食品への異物混入事件などの影響で、サプライチェーンセキュリティという概念が荷主企業で広まりつつあるいま、物流業界も積極的に安全性の向上に注力すべきだと言われている。
その物流業界で徐々にではあるが、認知度が向上してきたTAPA(Transported Asset Protection Association)認証。大手フォワーダーを中心に、実際に取得に取り組む企業や関心を寄せる企業が増えている。
【出席者】
日本ヒューレット・パッカード/北島善吉氏
損保ジャパン・リスクマネジメント/柳沢芳太郎氏
SGモバイルサポート/一蝶茂人氏
綜合警備保障/永野正氏
LRQAジャパン/原田靖雪氏
西日本鉄道/苅田敬三郎氏
三菱電機システムサービス/木内保幸氏
司会=TAPAアジア日本支部/浅生成彦氏
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浅生「TAPA認証を取得された西鉄さんにお聞きしますが、導入後のメリットは」
苅田「実際のところ、コスト負担は大きいですが、ロジスティクスセンターの従業員のセキュリティに対する意識が向上した利点は感じています。それもさることながら、品質管理に対する認識、とりわけ倉庫内での整備や作業効率、社内規律面が向上できたと考えています。TAPAの条項の中にCCTVの設置がありますが、本来は、部外者の侵入や異常な貨物の取り扱いを把握するのが目的のはずですが、倉庫内で事故が起きた時の原因を把握できるというのも、一つのメリットと感じています」
浅生「ロジスティクスセンターには、セキュリティマネジャーを置いているのですか」
苅田「セキュリティマネジャーは、全社的には私一人なんですけれど、ロジスティクスセンターでは、センター責任者がセキュリティマネジャーを兼務しています」
浅生「SGモバイルサポートさんにもお聞きしますが、コンサル先で導入後に、どのような声を聞きますか」
一蝶「セキュリティレベルが上がった面と、従業員の意識が変わったという面で評価頂いています。また、商品が入ってきてから出て行くまでのトレーサビリティができて、出荷証明になることで、取引先からの信頼度が増したとの声も頂戴しています」
浅生「西鉄さんが導入時に苦労した点は何ですか」
苅田「導入のきっかけは顧客の要望でしたから、取り組まざるを得なかった。従業員に突然、『セキュリティの必要性』と言っても、理解してもらうのに苦労しました。どうしても馴染めないという従業員が多くいました」
浅生「具体的に言うと」
苅田「導入当初は、ドライバーなど外部の方にセンターへの入退場管理で理解してもらえず、トラブルが発生したところもありました。現在では、成田空港の周辺では、近隣にもセキュリティレベルの高い倉庫がたくさんできましたので、規則を理解して頂けるようになりました。トラブルはかなり減りましたが、AEOや新航空保安法の関係で、さらにいっそう厳しくなっています。頻繁に出入りするドライバーであっても『ドライバーズライセンス』を必ず提示するということになっていますが、なかには自ら進んで提示してくれるドライバーも出てきました。徐々にですが、浸透してきたという感触はあります」
浅生「荷主から指示がきたというのは、ずばりTAPAを取れということでしたか」
苅田「そうです。他に代わる基準が日本にはないので」
浅生「シンガポールの拠点でも荷主からの要望で取ったそうですね」
苅田「同じようなセキュリティのシステムを自分たちで構築することも可能だとは思いますが、それを第三者的に証明できるものが日本にはありません」
「荷主からの要望で取得した」と苅田氏
(つづく) -
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