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物流ニュース
各社が取り組むラストワンマイルサービス 荷主も自社配送網構築
2020年8月6日
ネット通販の拡大によって、増加し続けている「宅配事業」。テレワークなどの在宅勤務の普及によって、その需要はますます拡大。もともと人手不足だった宅配業界では、「ラストワンマイル」のサービスを維持するためにさまざまな取り組みを模索している。女性ドライバーやシニア世代の活用だが、運送事業者だけでなく、荷主企業側も商品を確実に届けるために自社の配送網を構築していることも珍しくない。今回は「ラストワンマイル」サービスを維持するための取り組みについて調べた。
新聞の宅配網を「ラストワンマイル」に取り入れたのはラストワンマイルソリューション(東京都中央区)の近藤正幸社長。「新聞販売店まで持っていけば、だれでも利用できるというものになれば、地域の方にとっても便利なインフラになるというのが出発点」という近藤社長。「開始当時は販売店側も新しい事業に積極的ではなかったが、2、3年で変わってきている。宅配事業は荷物を届ける拠点の数が戦力につながる。消費者の近くにどれだけ拠点があるかが重要。新聞販売店のように一定数必ず配備されたインフラは珍しい」と指摘する。
「従来の宅配の場合、郊外に少し大きめのセンターを構えてトラックで配送するのがメイン。新聞配送とはまるで逆。宅配にものすごく適したインフラだと思っている」という。
自社商品を確実に届けるために消費者を利用した地域コミュニティを創出したのはネスレ日本。佐川急便と共同で2年前から、新宅配サービス「MACHI ECO便」をスタートさせている。
同社では「各地域の方々にご協力をいただき、『エコハブ』と呼ばれるストックポイントの役割を担っていただく。サービス利用者は、『近所のエコハブに商品を取りに行く』もしくは『近所のエコハブから商品を配達してもらう』のいずれかを選択し、『商品を取りに行く』場合は、商品代金から割引を受けることができる」と説明。「現在、(数値については公表していないが)東京や大阪以外でも順調に拡大、地域を広げている」としている。
また、最近になって「ギグワーカー」と呼ばれる働き方が注目を集めている。ネットで仕事の依頼を受け、単発の仕事を請け負う働き方で、ウーバーイーツなどの配送員が有名だ。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大ではさまざまな問題も明らかになっている。ウーバーイーツユニオンでは「新型コロナウイルスの流行に対する提案と要求」として、「置き配といったドロップ時の対応は注文者との接触を制限し、感染リスクを低減できる可能性はあるが、ウーバーイーツでは、現金決済を導入し現金徴収を配達員に代行させている。また、料理の受け取りや市中での待機、移動時の感染リスクを低減することは配達員の自己責任となっている。一方、他の配送事業者では配達員にマスクを配布するといった対応を行っている」と指摘。「新型コロナ感染予防策を講じ、配達員に対してマスク、消毒液などを配布するよう求める」としている。同ユニオンでは配達1件に対して300円の危険手当も要求している。
◎関連リンク→ 株式会社ラストワンマイルソリューション
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