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物流ニュース
コロナ禍の中古車市場動向 資金繰り厳しく買取り案件増
2020年8月31日
2020年上半期の事業用トラックの中古車市場は、新型コロナウイルス感染症による影響によって、全体需要が落ちており、資金繰りの厳しい運送会社からの買い取り案件が増えている。
旅客でも観光バスが、休車によって任意保険の支払いが厳しくなったことで、保有車両のナンバーを外して一時抹消しており、タクシーも買い取り案件が多いという。
このような状況のなか、コロナ禍の事業用トラック中古車の市場動向について聞いた。
カワノエンタープライズ 「動きは良い」
トラック広場のグループで、商用車全般の販売・買い取りを行っているカワノエンタープライズ(村田三郎社長、同台東区)では、営業部の茂木克之本部長が「トラックは建設関係の什器運搬車やダンプなどの引き合いが多く、例年に比べても動きは良い」という。
「当社は、特にダンプ系が得意だということもあるとは思うが、取引先も5月に過去最高の売り上げを出しているので、公共工事などの需要で建設関係や産廃系は動いている」とし、「当社では今のところ、コロナの影響は特に感じていない」と話している。
ただ、「オークションが止まって、値段もかなりの開きが出ている。そのため、出品者も出さない状況なので、思うように仕入れはできていないが、価格が通常よりも下がっているので、買いやすさは出ている。なので、モノは少ないけれども、今は仕込みに力を入れている」としている。
サイトラ「買取り増も売り先なく」
一方、中古トラック専門の買取・販売とトラックレンタカー(大型完備)のサービスを提供しているサイトラ(埼玉県春日部市)では、寺田敬優社長が「コロナ禍で買い取り案件は増えたが、トラックの販売については売り先がなく、現状では売れなくなっている状況だ」と話している。
同社は、海外販路と国内販路の両方を確立しているが、特に海外向けの影響が大きいという。「輸出ができないので、トラックが外国に行かなくなっており、売り先がなく在庫を抱えている」とし、「確かにそういう予兆はあったものの、ここまで厳しくなるとは思っていなかった」としている。
「当社は買取・販売が主軸なので、買い取り案件があれば積極的に買い取りを行っている」とし、「コロナで仕入れを抑えた部分もあるが、買い取り案件は、通常と比較して、いろいろな種類の車両が2倍から3倍くらいは出ており、なかには5年落ちなどの案件もみられる状況」と話している。
ネントリーズ「8月までは慎重に」
トラック買取・販売「トラック王国」を運営しているNentrys(=ネントリーズ、津島一夫社長、東京都渋谷区)では、ICT事業部の西田慎次部長が「緊急事態宣言によって、オークションで買い付けが減っていたので、売れないとみて、すぐに買い取りを控え、8月くらいまでは慎重に対応していく」と話している。
「オークションは通常、100台あれば70台くらいは落札されているが、40台いけばいいくらいの状況だったので、引き合いの多い車両にターゲットを絞って仕入れを行っている」とし、「販売の方は車両全般で4月・5月が鈍く、6月に入って例年に近い水準に戻りつつある」としている。
グリーンベル 増えた「冷凍車の引き合い」
このほか、新古車の動向については、トラックの売買や運送業向けコンサルティングなどを行っているグリーンベル(神奈川県川崎市)の葛西宣行社長(写真左)が「コロナによって体調が悪くなる運送会社が出ているわけだから、全体需要はへこんでいると思う」としながらも、「コロナで需要が落ちなかった食品系の物流に参入したいという事業者の問い合わせが増え、冷凍車の引き合いは増えた」としている。
「当社は売り専門で中古車両の買い取りはあまりしていない。新古車をメインに扱っており、冷凍車の新古車は売り切れてしまったため、現在はお断りせざるを得ない状況となっているが、冷凍車の需要は継続中である」という。
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