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    Withコロナ 物流のこれから

    2020年9月23日

     
     
     

    物流の専門家に「withコロナ」を前提とした取り組みおよび将来予測について話を聞いた。

    イグニションポイント 求められる物流DX

    EC事業立ち上げの総合支援のほか、物流現場のデジタル化支援・プランニングおよび物流オペレーション改革・設計などで実績を持つイグニションポイント(東京都渋谷区)の羽間裕貴氏は「新型コロナウイルス流行以降、ECをはじめ、伸び率が著しい所があり、置き配・自動配送などのニーズがコロナ以前と比較し大幅に上昇している」とし、そのうえで「物量増加に伴う物流クライシスが騒がれ始めていたところ、機器の自動化といったデジタル化が進んでいた。今後そうした動きが、さらに加速していくのでは」と分析。

    中でも同氏が注目しているのが非接触・非対面の促進。それに伴いキャッシュレス・ペーパーレスなども普及する見通しだという。

    同社では、こうしたデジタル戦略全体の「プランニング」から「DX(デジタルトランスフォーメーション)実行支援」「保守・運用」までの支援を一気通貫で行っている。同氏は「物流では、全体的に俯瞰してハンドリングしていくための情報が集積されていないといった課題があった。これからは情報を可視化して集め、変化へ柔軟に対応していく物流DXが求められていくのでは」としている。

    また一方で「物流現場から人の手が完全になくなるには、まだまだ時間が必要なのではないか。加えて物流の自動化・デジタル化のノウハウが蓄積されている企業は少なく、現場がデジタル化に対応できるかは未知数。デジタル化への心理的なハードルを解決可能な企業、新たな環境についてこられる物流企業・現場が今後伸びていくのでは」と話した。

     

    三菱商事 多様な倉庫ロボを提供、「ROBOWARE」提供

    三菱商事物流開発部アセットシェアリングプロジェクトでは、様々な国から多種多様なロボットを提供する倉庫ロボットサービス「ROBOWARE(ロボウェア)」を展開している。

    同サービスは国内外のロボットをユーザーの希望に合わせ選択・提案しリース・販売するもの。すでに同社グループの物流拠点で実証実験を行った商品が多数存在しており、ユーザーは物流現場での事例データを得られたロボットを、自社で取り入れることが可能だ。昨秋からは一部拠点でテスト用疑似貨物ではない、顧客の貨物を使用した実験を行っている。

    同サービスでは特に格納・ピッキングなどの人手を必要とする業務に焦点を当て、ロボット化を促進していくとのこと。

    同プロジェクトの中西心紀氏は「従来の物流ロボットは、初期投資、運用ノウハウ取得、トラブル対応コストなど導入における様々なハードルが存在していた。しかし、当社のサービスを利用いただければ、初期投資を大きく抑えられ、我々も自社実験データを参考に、お客様にとって最適な形となるようサポートが可能。『ROBOWARE』がユーザーとロボットとの橋渡しとなれれば」と話す。

     

    ブリッジタウンエンジニアリング 求人面で強みに、棚流動型自動走行ロボット「Ranger GTP」

    同社と提携しROBOWAREの普及促進に注力しているブリッジタウンエンジニアリング(東京都荒川区)の渡邊博美社長は、三菱商事ロジスティクス京浜事業所の実証実験について、棚流動型自動走行ロボット「Ranger GTP(旧名バトラー)」を例にあげ「現場の使用者に専門知識・技能がなくても使用可能かつ一定のクオリティを実現できるロボット」とし、「使用人数を増減させることで波動への対応も可能としており、センター内スタッフへの業務負担も削減された。今後の求人面でのアピールポイントも増えたのでは」と分析している。

    加えて「ロボウェアには、Ranger GTP以外にも自動仕分けロボット、オムニ・ソーターやSyriusの自律走行型ロボットをはじめ、拡張が容易なラインアップがそろっており、顧客のニーズに合わせた最適な導入量をキープし続けることが可能。例えば、三菱ロジスティクス京浜営業所で実験が行われているRanger GTPは、実験開始当初からおよそ4倍になるまで、順々に導入数を拡張してきた」としている。同サービスは企業規模の大小を問わず物量の増加および人手不足などの課題を抱えている物流現場へアプローチを行っていくという。

    シェア率が一定数を超えた際には、近隣エリアで物流ロボットをシェアリングし、各物流拠点の波動に合わせた最適化に役立てる予定もあるとのこと。

    中西氏は「アフターコロナと呼ばれる時代には商品価値の一つに、流通工程で人が密になっていない、もしくは、人が極力触れていないことが含まれるようになる可能性がある。ロボット使用が当たり前の時代が来るかもしれない一方で、物流ロボットに知見を持つ人材は業界全体で見ればまだ少ない。我々がそこをサポートしていくことができれば」とし、渡邊氏も「Ranger GTPだけでなく、ロボウェアは必要性に応じて拡張が可能な物流ロボットを多数そろえている。導入ハードルが下がったことで、これまでに導入が叶わなかったお客様にも使用いただけるケースも増加する可能性が高い。全国のお客様にも使用感を確かめながら、それぞれのロボットごとの最適な使用例や組み合わせを模索し続け、お客様の現場の自動化に貢献したい」としている。

    三菱商事物流開発部デジタルロジスティクスプロジェクトでは、2019年からローソンの物流網を活用したレンタル商品およびEC商品の返却・返品サービス「SMARI(スマリ)」を提供している。

    スマリは現在、一都三県のローソン約1000店舗に設置してある専用ボックスから商品の発送・返却などを可能とするサービス。ユーザーは同じ専用ボックスで印刷されるラベルを荷物に張り付けて投函するだけなので非対面形式での受け付け発送が可能となる。集荷は店舗へ来た配送ドライバーが空になったボックスに入れて行うので、コンビニ店舗スタッフの業務も増加せず、従来レジで行っていた手続きを専用ボックスに一任する形となるので導入前と比較してレジ前の混雑具合も解消されるメリットもあり、店舗からも好評だ。

    同プロジェクトの橘香乃氏は「今年に入って、導入1000店舗目を達成していたところ、新型ウイルス流行後には爆発的に受け付け件数が増加した。秋には都内で2000店舗を目標とし、関西他への進出も目指す」とし、続けて「スマリは新たな事業パートナーを募集している。試着を前提としたアパレル通販など返品が発生するサービスや、宅配クリーニングの集荷窓口となり、サービスユーザーと企業との懸け橋になれれば」としている。

    なお、専用ボックスには機能の一つとして日本郵政の「e発送サービス」を受け付け可能なボックスも付属でついている。オンラインフリーマーケットやネットオークションなどの発送に利用されており、こちらも導入店舗増加を後押ししている。

    橘氏は今後について、「今後、継続して伸長が見込まれるECサービスはスマリの非接触型サービスと高い親和性がある。導入店舗増加の大きな要因であり、まだまだスマリが活躍できるサービスがあるとも考えられる。スマリは、元々、配送車の空スペースを利用するなど社会課題と向き合う要素を備えたサービス。これからもスマリを起点とした新しいサービスを生み出しつつ導入拡大を目指していく」としている。

    ◎関連リンク→ イグニションポイント株式会社

    ◎関連リンク→ 三菱商事株式会社

    ◎関連リンク→ ブリッジタウンエンジニアリング株式会社

     
     
     
     
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