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    大口荷主に三行半 一方的な値下げに激怒

    2009年7月29日

     
     
     

     仕事量の落ち込みで、多少の運賃下落でもトラックを走らせるケースも見られる。そんななか先月、関西の運送事業者は1か月1500万円に及ぶ仕事の契約を一方的に打ち切ってしまった。同事業者は「荷主サイドからの理不尽な運賃値下げに応じた結果」とあっさり話すが、同社の勇断は逆に社内の結束を高めており、業績の向上に結びついている。


     車両60台を保有する同社は昨年、一部上場の大手荷主と取引を開始した。仕事は5年契約。家具を集荷して倉庫に保管、必要に応じて発送する業務。自社便で東海・北陸地方に向けて出荷し、現場での搬入、組み立て、据え付け作業も請け負った。水揚げは1か月平均して約1500万円。同社にとっては年間売り上げの1割強を占める大口の得意先である。
     仕事は順調に推移していたが、今年3月に荷主から一通のファクスが送られてきた。運賃を1運行につき5000円下げるというもので、その件で本社を訪問してほしいとの内容だった。
     同社の計算では1運行5000円の値下げは月間で売り上げが200万─250万円下がることになる。「その200万─250万の部分がうちの利益。なんのために仕事をしているかわからなくなる」。当然、荷主の一方的な要求を呑めるはずがなかった。
     公正取引委員会にも尋ねてみたが、「契約上の問題は訴えられるが、運賃の値下げは訴えられない」との返答。
     怒りの収まらない同社長は、逆に荷主担当者を事務所に呼びつけ、「『いろいろ努力した結果、運賃面で協力して欲しい』なら理解もできるが、社員の給料は高額のままで、何の企業努力もせず、いきなりファクス1枚で運賃値下げとは何事か。うちは道楽で仕事をしているのではない」と叱りつけ、逆に三下り半を突きつけたという。
     社長はまた、「経済情勢がどんなに悪くなっても、荷主も運送事業者もあくまでもフィフティ・フィフティというのがうちのスタンス。特に今の厳しい時期こそ基本に戻る必要があり、それでお互いが大きくなっていく」と強調する。同社は従業員100人を超えるがリストラは一切ない。今年3月末決算は増収増益で、当期利益は約1億円を計上している。
     一部上場の荷主の仕事は6月末で終了した。すぐに別の運送事業者が、さらに運賃を下げて同じ仕事を請け負っているという。(大塚仁記者)

     
     
     
     

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