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物流ニュース
事業協同組合「大口契約者」正念場のとき 8月を乗り切れるか
2009年7月29日
トラック事業者など高速道路の大口ユーザーにとって昨今の割引拡大は歓迎ムードだが、一方では大口であるがゆえに制度化されてきた上乗せ的な割引システムが厳しい局面を迎えている。割引拡充によって自動的に月間利用額が減少するなど、大口カードの利用者に求められる条件がクリアできなくなっているためだ。
道路会社では8日から「通勤割引」「平日昼間割引」の適用条件を広げたが、さらに夏休み時期の交通分散を狙った特別割引を開始する。こうした状況から、大口契約者である事業協同組合などでは「正念場の8月をどう乗り切るか」に神経を尖らせている。
ETCコーポレートカードを利用して大口・多頻度割引のメリットを受けるユーザーは、その条件としてカード1枚当たりの月間利用額3万円かつ、月間の利用総額が500万円を超えることで10%の上乗せ割引が享受できる。
ただ、利用頻度が変わらないものの、各種の割引拡充によって自然と利用額が減る格好になっている実情を踏まえ、平成23年3月末までは「2万7000円」「450万円」をクリアすることで半分の5%が還元される対策が講じられている。
企業が単独で道路会社と大口契約を交わす例もあるが、多くのケースで窓口となっているのが事業協同組合。中小事業者をまとめる格好でスケールメリットを生み出してきたが、矢継ぎ早の料金施策によって運営が極めて厳しくなっているのが実情だ。夜間の割引拡大や100km以内に限った平日昼間の3割引によって、すでに大口割引の条件を満たせなくなった協組も出ている。
昨年来、協組では利用額の少ない車両のカードを返納するなど単価の維持に取り組んできたが、一部の組合では組合員に説明して大口メリットを一時的に凍結したり、内部留保を崩して上乗せ割引を継続するなど苦肉の策に追われている。
そのため、8日から始まった平日昼間割引の対象拡大に加え、お盆時期の大幅な割引拡充は深刻で、「これまでの月間利用額が4万円ほどのカードについて、可能な限り返却してもらうようにお願いした」という協組もある。
大口ユーザーが加入する協組にはトラック事業者などによる同業種組合のほかに異業種組合があり、より深刻なのは異業種組合。しかし、トラック事業者の半数以上が異業種組合で大口割引を利用しているのが現状だ。
ある組合の関係者は「仮に高速道路が無料になれば事業継続の余地はなくなるが、その時期まで耐えられるかさえも微妙。8月の様子を見ないと判断できないが、場合によっては半数以上の異業種組合が姿を消す可能性も否定できない」と指摘する。さらに、「すでに一部で見られる協同組合間の事業統合や、吸収合併の動きも加速するのではないか」と話している。(長尾和仁記者)この記事へのコメント
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