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物流ニュース
物流業界でも導入増加 前払給与サービス「エニグマペイ」
2021年1月12日
コロナ渦で多くの失業者が溢れるなか、給与の前払いサービスがドライバー確保の手段として効果を発揮している。元来、小規模な企業も数多く存在する物流業界では経営者と従業員の距離が近く、交渉により個々人の事情を汲んだ経営者が給与の前借りを認めていたケースも珍しくない。給与の前払いを福利厚生として求人票に明文化し注目度を上げ求職者を惹き付けているケースだけでなく、前払い制度を通じ生活困窮者をすくいあげチャンスを提供したケースもある。
enigma(エニグマ、小口敦士代表、東京都新宿区)は、従業員が働いた分、給与の支払いが可能な前払給与サービス「enigma pay(エニグマペイ)」を提供している。担当者は「費用負担がほとんどなく、システムの導入が容易で、既存システムとのAPI連携も可能。専用機材を導入する必要もなく物流業界を含む多くのお客様から採用いただいている。エニグマペイを導入いただくことで、これまでになかった求職者層にも訴求し獲得人材の幅を広げていただければ」と話す。同氏によれば「平均でおよそ3.7倍まで応募者数が増加している」とのこと。
宅配をメインに軽貨物配送事業を展開するT.Uサポート(高澤毅祠社長、千葉県千葉市中央区)では同サービスの導入後、応募者数が2〜3割増加。高澤社長は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で失業し経済的に困窮していたドライバーも多い。エニグマペイを導入したことで終業後、すみやかに収入を得ていただけるメリットも提示できる」と話す。
同社はサービス導入後、応募数に加え定着率も増加。加えて研修日の日給の他一日当たりの最低日給も保証するなどドライバーの育成・生活支援も行うことで、現場経験を積んで成長しサービス品質を高めたドライバーを確保している。高澤社長は「弊社は配達先のお客様に、もう一度同じ配送サービスを利用したいと思っていただけるようサービス品質の向上に力を入れている。前払給与サービスを通じコロナ禍で収入が減少していた未経験者を数多く受け入れられる体制を整えたことで、弊社の理念に賛同・共感してくれる人材を集め、一から育成することもできた」とし「男性だけでなく女性からも応募があり、今も活躍し続けてくれている」としている。
同社グループのドライバー数は現在200人を上回る。荷主企業からのリクエストも続いており営業所も関東地方全域に広がり続けているそうだ。将来的には関東以外の地方進出も検討中とのこと。
阿部マルエクスプレス(神奈川県横浜市栄区)は昨年秋頃に現在の前払給与サービスを導入 。同社は軽貨物事業の展開に加え、独立支援として軽貨物企業経営ノウハウの共有を行っており、同サービスでのつながりを生かし、提供企業のグループ各社が展開している勤怠管理・GPSアプリなどの情報も共有。応援に役立てているそうだ。
社長は「軽貨物ドライバーの給料も働きはじめてすぐに支払われる訳ではない。当社は配達完了件数だけでなく日当も選択可能な体制を整え未経験から仕事を学んでいける体制を作っているが、 業界未経験者は期間が空く支払い事情に戸惑うケースもある。しかし、前払い可能とすることで金銭に起因するトラブルを防ぎ、働き続けやすい環境を構築できる」とし、加えて「求人情報に前払い可能と掲載し、注目されるメリットもある」と話す。現在、求職者にも前払給与サービスの存在は浸透しており、同社では「前払いに使用可能な支払いサイトは」といった質問を行う求職者も確認されているとのこと。
昨年11月、同社の面接者は東京・大阪だけで300人を超え、採用人数も約50人。応募者の約7割、採用者の約4割が未経験者だったという。同社のドライバーは現在160人を超え、売り上げは昨年の2倍に迫る勢いとなっている。毎月、600万円程利用しているサービスも支払い可能な枠を拡大予定だという。社長は「社内での活用の幅を広げると同時に、業界内で情報共有し魅力的な物流業界を作り上げていきたい」としている。
◎関連リンク→ 株式会社enigma
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