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物流ニュース
PALTAC 入荷検品を完全自動化、非接触の入庫を実現
2021年1月19日
PALTAC(糟谷誠一社長、大阪市中央区)は2019年、埼玉県に次世代型大規模物流センター「RDC埼玉」の稼働を開始した。敷地面積約2万坪の同施設は入庫から保管・出庫までの各プロセスに自動化設備を導入し、人手不足に対応するためセンター全体の生産性を高め、首都圏をはじめとした近隣エリアの物流を支える新施設として誕生した。コロナウイルスに対しても同センターでは感染者ゼロの状態を維持し続けている(12月取材時)。
同社研究開発本部の藤井廷紀氏は同センターの特徴として「当社で導入している次世代型物流システム=SPAID(スペイド)をさらに発展させ、先に導入し自動化で高い生産性を実現したRDC新潟をはじめとした当社の既存センターを超える生産性を実現している」と話す。
新開発した次世代型バラ物流システムにより、バラエリアの生産性はカートを使用した従来型物流センターより大幅に向上しているという。同センターは2020年、コロナ第1波などでマスクをはじめとした衛生用品需要がドラッグストアなど小売店で激増した際の対応にも活躍した。同氏は「センター設立から間もなく想定以上の受注を受け、フル稼働が続いた。現在は当時よりもセンター運用ノウハウも蓄積されている。同様の事態となった際には生産性の高さを生かして、よりスムーズに商品をお届けしたい」としている。
同センターの入荷は、入荷予約システムで管理されたバースから自動入庫検品システムを通って行われる。ドライバーのバース待ち時間・荷下ろし時間を大幅に削減可能とし、感染リスクの高まるセンター入口での滞在時間および密集度を軽減することにも成功。またシステム管理を経て入庫することで同社のWMSとも連携させ、生産性向上と業務負担軽減にもつなげている。入庫は通常、早朝から夕方まで行われる。
自動入庫検品システムについては同社が世界で初めて導入した正パレット商品の入庫検品を完全自動化するシステムで、パレット納品における非接触の入庫を実現。そうして迎えられた商品群はパレット自動倉庫かケース自動倉庫に分けて保管される。
バラ出荷を行う商品群はケース自動倉庫からコンベアで流され、自動カット装置(オートカートンカッター)または同社オリジナルのSS(エスエス)カッターを用いて人手にてケースオープンされ、保管トレーに詰め替えられた後、約12万6000トレー分の容積を保有するトレー自動倉庫へ格納される。
トレー自動倉庫から出庫された保管トレーからのピッキングには人が活躍している。しかし、作業は商品がスタッフの手元まで送られてくる形となっているので移動の必要がなく、ピッキング作業経験の少ないスタッフであっても高い生産性を確保することができる。
また、ロボットがピッキングを行うレーンも併設されており、多種多様な商品をピック可能なグリッパを備えたロボットがピッキングを行う。ロボットにより自動で搬送用トレーに詰められた商品は、次のエリアでオリコン詰めされ出荷レーンに送られていく。オリコンの組み立ても、もちろん自動化済みだ。ピッキングのスタッフは朝ー昼・朝ー夕・昼ー夜の3パターンでローテーションしている。
藤井氏はピッキングについて「立ち上げ以降も改善を続けてきたが、各自動倉庫・搬送コンベアの制御の見直しによりまだまだ稼働率の向上が見込め、さらに生産性が向上する」と話す。またレーン間を人が移動する必要がないため、接触機会が減り感染リスクも少なくなっているという。
出荷工程でも同社の自動化ソリューションが活躍。先述のオリコンも自動で積み上げられ出荷口へ運ばれていく。
ケース出荷においても同社独自のロボットが活躍している。ケースピッキングで活躍するAIケースピッキングロボットは、メーカーとの協働で同社が世界で初めて導入したマスターレス化ピッキングロボット。1時間当たり700ケースの速度を実現しただけではなく、マスターレスによりケースの事前登録が不要となっており登録ミスなどのヒューマンエラーを排除。8台設置されており安定して高い生産性を確保し続けてきた。
藤井氏は「元々、コロナを意識したセンターではなかったが結果として、人の交錯を最低限に抑えた作業環境や人手不足下での生産性向上・作業者確保を意識した物流センターが構築でき、コロナ禍でも流通ネットワーク・消費者の生活維持に貢献することにつながった。引き続きセンターの改善を進め消費者の生活を支えていく」としている。
◎関連リンク→ 株式会社PALTAC
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