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物流ニュース
シード 生産スピードを安定化、自動倉庫と自動パレタイズロボ
2021年1月25日
新型コロナウイルス流行を契機とし、ハードの面からも物流現場の感染症対策が行われている。2020年から新たに稼働した施設でも労働環境改善などを目的とした物流施設のオートメーション化が効果を発揮して、感染を押さえ込んでいる。
埼玉県にあるシード(浦壁昌広社長、東京都文京区)の鴻巣研究所倉庫棟は、延べ床面積約4000平方m。2020年中に本格稼働し始めたばかりであり製品保管室には最大18万5000箱、製品自動倉庫には144万7200箱の保管量を記録。旧倉庫と比較して約2倍の保管量となり、商品のストックはもちろん、マスク・消毒液といった感染症対策にも欠かせない資材の備蓄量も大幅に増加した。
加えて、これまでなかった自動倉庫と自動パレタイズロボットの導入で、生産スピードを安定化させ現場に必要な人数を約半分まで削減することにも成功。現場のソーシャルディスタンスの確保に加え、保管量増加に伴うリードタイム調整・配送効率向上による空荷削減・接触機会減などの効果をあげている。これら接触減と生産性向上および省力化機能と日々の衛生活動が効果をあげてか、同倉庫における感染者数はゼロをキープし続けている。
同社はこれまで横浜・福岡の物流センターを中継地点として活用し、現地の物流関係者と協力し拠点を経由しながら顧客への配送を実施するのが基本のプロセスとなっていた。しかし、今回の自動化による安定化および容量増大で、保持しておける製品数を大幅に増加させながら生産・出荷オペレーションも従来以上に安定性を向上。結果、過去には不可能だった直接配送依頼などへの対応も可能となり、配送に必要な便数も最適化可能な余地も増加した。
物流管理部兼鴻巣物流チーム副部長の大山隆氏は「新倉庫棟によりお客様からのリクエストにも応じやすくなった。今後の受注量・OEMの件数などにより生産量が増大すれば鴻巣からの直接配送も現実化する。新たに機器を導入する可能性もある」としている。
同センターが開くのは朝9時。隣接されている研究棟の生産ラインに向けた資材入荷、パレットの戻し作業が始まるのはこのタイミングからだ。同センターのもう一つの特徴が製品生産側との協調体制。何度も行われる物流担当者側と生産側との情報交換・共有も同タイミングからスタートする。物流業務従事人数や在庫補充予定など、鴻巣以外の物流センターの状況も参考に両者の間では、およそ1週間先までの予測を立てながら動いており、同センターにおける生産・出荷計画に大きく関わっているという。物流側から、出荷前に必須となる品質管理依頼を出すのも午前中がメインだ。
午後からは製品自動倉庫への搬入・品質確認が済んだ商品の出庫も開始される。製品自動倉庫および、同社製品の特性に合わせたパレタイズロボットもフル稼働。物流担当の従業員は基本ラップ巻きや構内搬送などをはじめ自動化が行われていない部分をカバーするなど出荷が落ち着く午後6時まで動き続けるという。今後も労働環境の改善は課題とされる見通しであり、負担の大きい業務などを中心に自動化の余地がありそうだ。
◎関連リンク→ 株式会社シード
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