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    品質から運賃重視へ 景気低迷で荷主が方向転換

    2010年11月17日

     
     
     

     輸送品質向上や環境対策に取り組む運送事業者は多い。その努力は、荷主が品質の高い運送事業者を選択することで報われるはずだが、最近では運賃が安ければいいという選択をされがちだ。
     景気の先行き不透明さが荷主の選択眼を運賃価格のみにさせているともいえるが、安すぎる運賃の背景に法令違反などの実態があった場合、事故のリスクなど代償は大きい。


     神奈川県で精密機器を輸送している事業者は、最近の荷主の変化に戸惑いを隠せない。中小規模ながら5年ほど前に品質ISOを取得するなど、輸送品質の向上には徹底的に取り組んできた。デジタコを使って、指示通りの運行や休憩時間を取っているかなど、細かくドライバーを管理。無理な運行で交通事故を起こさないよう、休日出勤や時間外労働などもさせずにきた。労務管理もしっかりしているので、「いつでもGマークは取れる」と太鼓判を押されていた。
     その努力の背景には、メーン荷主のニーズに応えたいという思いがあった。景気がよかった頃は全国から注文が入った荷主の要望に応え、同社も全国配送に対応するなどしてきた。
     さらに荷主は、取引先の選択基準として品質ISOの取得を要求。主に部品工場など下請け会社に対する要求だったが、荷主に聞くと「運送会社も取得すれば優先的に仕事を回す」という話だった。事業拡大のために一念発起してISOに挑戦、見事に取得した。
     同社はこれで仕事が増えるはずだったが、景気低迷で荷主の方針が変わってしまった。まず荷主の生産量が減ったので運送も減った。運賃は3年前に比べて45%減になったという。さらに、輸送品質によって荷主に選ばれるはずが、いかに運賃を下げて運送コストを削減するかという考え方になった。「今は入札で値下げさせるようになり、ISOの有無は関係なくなってしまった」と嘆く。
     その影響は大きく、同社は経営陣を含めて大幅なリストラを行った。それでも、品質重視という方針は変えないつもりだ。法令順守の徹底がコスト増となり、仕事の奪い合いでは運賃競争で不利になることもあるが、品質ISOも継続する。事故は皆無である同社。それを評価する荷主が存在することを願っている。

     
     
     
     

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