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    リスク大きい運送業 ドライバーのミスが命取りに…

    2010年12月8日

     
     
     

     トラック運送業と従業員(ドライバー)との関係で、他の業態とは違った特色の一つに、トラック運行時に高価な物(トラック)の占有者がドライバーに移る、という現象がある。大型なら1000万円以上するトラックが、運行中は会社のもとを離れ、見かけ上の所有者であるドライバーにハンドルさばきが任される。
     「高価なトラックに乗せて、それで事故して会社を辞めていかれては何をしていることやら…」といった経営者の嘆きは、一人のドライバーの判断ミスが、会社の生産資材の生殺与奪の権利を握ってしまうという不条理さにある。


     ある運送経営者は、「会社の従業員が数千万円の生産資材を、会社を離れて何日間か占有し、生産資材を生かすも殺すも自由にできるという形態の業種がほかにあるかな」と問いかけ、リスクの大きい業種だと嘆く。
     もちろん、事故などでトラックを破損させ、それがドライバーの重大な過失によると認定されれば、「たった一人の占有者」であるがゆえの責任がドライバーにはついて回る。民法は、怠りなく乗務するというドライバーの責務が果たされなかった「債務不履行」の責任の形の一つとして、損害賠償請求の規定を置いている(民法415条)。
     大阪労働局などによると、使用者側から従業員に対するこうした請求は、使用者が賃金から一方的に差し引くなどの行為をしなければ、基本的に労働行政はノータッチだ。もっとも判例では、使用者の事業の性格、規模など様々な要素が考慮され、全損害額の4分の1から半分程度にまで賠償の限度を設ける傾向にある。
     このような法的位置付けを運送事業の実態にあてはめると、居眠り運転一つをとっても、どこまでが事業者の責任か、ドライバーの責任かの線引きは難しく、過失割合といった互いのマイナス面をあら捜しするという泥仕合が待っていることは想像に難くない。
     ある事業者では先日、ドライバーがエンジンを焼いてしまい、エンジン載せ換えの費用90万円が発生した。ドライバーが社内組織の班長であること、今春にも同様の整備点検ミスを犯していることなどを重視し、90万円のうちいくらかを求償していく考えだ。経営者は「一人のミスが会社の資産にマイナスを与えていることを他の従業員にも知ってもらうことが必要」として、今後、制度化していきたいという。

     
     
     
     

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