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    新聞協同輸送 運送事業者がバイオ技術開発

    2010年12月28日

     
     
     

     既存事業が先細りになると判断した場合、運送事業者として、どのような対策をとるだろうか。新規荷主の開拓、運送に関連した事業領域の開発、または体力があるうちに会社を閉めるという判断もある。旭川市に本社を構える新聞協同運輸(三輪一典社長)は、10年以上の試行錯誤から高度なバイオテクノロジーを開発、「機能性食品・飼料」の販売という、まったく新しい事業分野を切り開いた。


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     同社はトラック約60台を保有、旭川市、札幌市、帯広市に拠点を構え、新聞輸送をメーンに展開。産業技術総合研究所(産総研)北海道センター(札幌市豊平区)内にある研究開発部で、先端的なバイオ技術を用いて「食品廃棄物を再利用した機能性食品・飼料・肥料」を製品化した。
     専用の密閉型培養装置と、雑菌を抑えながら複数の有用菌を同時培養する技術の開発など、地場の運送事業者としては極めて高度かつ異例の取り組みだ。
     工学部出身の三輪社長は、エンジニアとしてメーカーの研究職に就くが、昭和63年12月、「明日から社長をやってくれ」と言われ、親の後を継いだ。時代はすぐに平成に変わった。
     インターネットが普及しはじめた時期でもあり、「新聞輸送だけでの生き残りは今後、難しくなる」と判断した同社長。「自分がやって面白く、他社が真似できない」ことを探し、環境分野で新事業を起こすことを決めた。
     平成10年頃から廃棄物処理機の開発・販売を手掛けたものの、当時は「ゴミ処理機メーカーが500社あり、そのうち400社が1年で入れ替わっていた」状況で、独自技術がないため事業は伸びず撤退。この時に「オリジナル技術を持たないと勝負できない」と学んだ。
     その後も環境分野で地道に研究を続けた同社長。同17年に産総研とコンタクトが取れ、植物乾燥化のプロジェクトにかかわった。これをきっかけにバイオ技術に触れ、人脈も広がった。「この技術を習得すればやれる」という手応えをつかみ、バイオテクノロジーによる食品再利用技術の研究を進めた。
     産総研つくば本部に何度も足を運び、同18年からは北海道センターに入居、客員研究員にもなった。道や国から研究資金を継続的に得ながら研究を推進。「景気対策として公共事業は減らされているが、研究開発分野での助成金は増えている。これを活用した」と説明する。
     研究資金の申請は、研究機関やバイオ企業に混じって行った。受け付けの担当者は「間違って来たんじゃないの」という反応だったが、事業を説明すると「面白い」と納得。「社名の意外性もあり目立っていたが、親身になって応援してくれる人が多かった」。
     同社長は人材のスカウトも進め、オカラを主な原料として食品廃棄物を「機能性食品や飼料」などに製品として再利用する独自技術を開発した。
     「食品廃棄物も腐らなければ食品に、腐っても飼料や肥料、燃料などに再利用できる」。これら製品は現在、サンプルとして全国で使ってもらっており、来年から本格的に販売を開始する。研究開発部は同社長も含め5人だが、来年は増員する予定だ。
     新事業に取り組んだ当時を振り返り、「社内からは『何が始まったんだ』と思われた。『ただの道楽』と思った従業員もいただろう。ドライバーは新聞輸送という仕事にプライドを持ち、荷物を変えることにも抵抗がある。ましてや運送以外の事業なので、なおさら変に思っていたはず」と同社長。「環境分野に進むことを説明し、公的な研究資金を得るなど実績を重ねて少しずつ認められてきた」という。
     ただ、本業はあくまで「運送」だ。同社長は現在、「6割程度の時間は研究開発部に割いている」ものの、配送ルートの見直しや顧客対応などをしっかり行い、経営全般に目を光らせている。環境事業は今後、食品廃棄物の収集・運搬や液体燃料の製造といった分野に応用もできる。
     「興味のある分野を試行錯誤しながら手掛けていくうちに、工学とバイオの境界領域となる今の事業につながった。将来的には運送事業にもつながるはずだ」と話す。同社は来年、旭川の本社を現在よりも広い市内の建物に移転。そこには研究スペースも設ける予定。「来年は勝負の年になるが、楽しみだ」。

     
     
     
     
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