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    「ドンブリ勘定とは無縁」信書便参入のJL連合会

    2011年1月12日

     
     
     

     「東京から大阪まで○万円でいきましょう、などという運送屋さん的ドンブリ勘定とは無縁の世界やなぁ」。
     JL連合会(大阪市)副会長の金築勇次氏は、信書便事業の特長について語る。JL連合会は昨年暮れ、全国を事業区域とする特定信書便事業の許可を総務省から受け、今春から事業を開始する運びだ。官公庁による入札、契約、個人情報の管理など、「ドンブリ勘定」とは似て非なる細かい仕事に乗り出す動機や意味はどこにあるのか。


    
 昨年12月中旬、JLの協働経済事業推進事業部のメンバー十数人が本部に集まった。「信書便の事業開始にあたって」と題するプリントをたたき台にしてメンバーは、想定される様々な局面について意見を出し合った。
     JL事業としての信書便に原加盟するのは76社の78事業所。複数社が重複する県もあれば空白地帯の県もある。76社は、各所属の協同組合を通り越してJL連合会と直接に営業委託契約を結び、契約業者として競争入札などに参加し、仕事を受注していく仕組みだ。指定の名刺を携行するなど、営業そのものが許可事業者との委託であることから、契約各社は相当厳密な要件を整える必要がある。
     ただ、会員事業者が日々向き合う運送事業よりもむしろ、自由度が高まるとも見られる。その典型が営業活動だ。金築氏は、自身が経営するグループ会社「ジャパンメッセンジャーサービス」(兵庫県伊丹市)として、すでに信書便事業を数年前からスタートさせている。
     「同じ阪神地区でも尼崎、伊丹市あたりは平坦な土地が続くので、自転車や徒歩による集配業務も可能。だが、宝塚市となるとバイクがないと集配できない」。同氏の語るような地理の条件ひとつにしても、業務遂行が自転車で済むのか、バイクを投入しなければならないのか、といった話につながる。これはコストに上乗せしたり差っ引く金額となって、見積もりや入札の金額に反映されてくる。
     「封筒に紙を入れる業務を同時に受注しているとき、1枚入れるのに何秒かかるか、1時間では何枚入るか。パートさん一人雇って割に合うのか、内職さんに出すのか。一つひとつ積み上げた計算が必要」とも同氏。こうした積み上げがマニュアルとして完成されるまでは、受注しようとする信書便の見積もり、入札ごとに様々な条件を勘案するシミュレーション力が試されていることになる。
     「頭の中に描いたものを紙に書き出す。すると、手間や要する時間などが見えてくる」(同氏)のだそうだ。入札などに敗れた際など、参加者の価格を事後に手に入れて反省会も開催し、次の見積もり、入札に生かす。
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     また同氏は「水平思考」という言葉を使って、次のような事例に触れる。「ある地方の歯科医師会から連絡があり、信書にあたる患者のレセプトを届ける業務で困っているという。これは、全国どこの歯科医師会も同じような悩みを抱えているハズだ」と、未来顧客を開拓することにもつながる。
     76社が個々の営業を積み重ねると、全体の売り上げ1億円はすぐに達成できるとJLでは見ている。成功を積み重ね、参加社数が2─3倍に達すれば、真の「全国区の特定信書便組合」が完成できると見込んでいる。
     金築氏は市場性について「信書便業者を実際に使っている役所、団体は限られている」とみる。自治体でも、財政難を理由とした信書便利用や、民間並みの細かい仕事への柔軟な対応を業者に求めてきている傾向にあるそうだ。「柔軟な対応といえば、中小企業者の集まり」。そんな感覚をもって、JLの攻めの年が始まる。
    ◎関連リンク→ 日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会

     
     
     
     

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