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    M&Aの難しさ なぜ失敗したか

    2011年3月24日

     
     
     

     企業が生き残る方法として、また、効果的な事業拡大の方法として、M&Aがもてはやされてきた。トラック業界でも、鉄道系の運送会社のM&Aが多発するなど、その存在が注目を浴びた。
     確かに、M&Aは買収する側にとって手っ取り早く事業を伸ばせる方法であり、魅力的といえる。しかし、それまで歩んできた道が違えば、カラーも違う。それが一緒になるということは、決して容易なことではない。5年前にM&Aで会社の譲渡を受けたという埼玉県の事業者は、まさにその問題に直面しており、早期の決断を迫られている。


     同社がM&Aで東京にある運送会社を買収したのは5年前。その会社とは取引関係にあったので話が来たというが、当初はその会社が経営難で資金繰りがどうにもならないという状況だった。しかし、事業を整理するうちに、採算の合う事業もいくつか出てきた。不採算な事業を辞め、採算の合う事業だけを残した上で、その会社を引き継ぐ契約を交わした。
     同社にとってリスクの少ない理想的なM&Aだった。同社は荷主の関係から、引き継いだ会社をそのまま残す形で別会社として継続させた。スタッフもそのままで、管理責任者を同社から送り込むという方法で進めた。
     当初こそ問題なく順調に進んだが、新たな営業もしなかった上に、リーマン・ショック後の景気の冷え込みで売り上げが徐々に減少し、採算が合わなくなってきたという。その結果、その会社の赤字分を同社が補填するという、いわばお荷物会社になってしまった。
     景気が冷え込んだということは予想外だったものの、「新しい荷主の開拓がほとんどできなかったことが、大きな問題だった」と同社社長は振り返る。その上で、M&Aがうまく機能しなかった理由について、「管理責任者を送り込んだものの常勤ではなく、スタッフもそのまま継続させ、今まで通りの仕事を続けさせたことが要因の一つ」と指摘する。
     同社が送り込んだ管理責任者の下に実際に現場で作業の指揮を執る管理者がいたが、その管理者には、引き継いだ会社の幹部をそのまま登用した。現場で働く従業員らをまとめるためだが、それが障害となってしまった。
     同社が送り込んだ管理責任者と現場の管理者との間では、しっかりと意思疎通が図れたが、その先にはなかなか声が届いていかなかった。同社の考えが、引き継いだ会社の末端の従業員へ浸透しなかったのだ。
     「うちと引き継いだ会社ではカラーがまったく違った」という同社長。従業員に辞められては存続が難しかったということで、強引に同社のカラーを押し付けることもできず、中途半端になってしまった。「リスクもなく理想的な形で買収できたときは、事業拡大のチャンスだと喜んだが、そうは甘くはなかった」と振り返る同社長は、「M&Aの難しさを実感している」と話す。
     現在、その会社の赤字分を同社が補填するという形で存続させている状況で、「このままの状態で続けることはできない」と覚悟を決めているという。「完全に自社で吸収してしまうか、それとも切り捨ててしまうか」という、決断を迫られている。

     
     
     
     
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