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物流ニュース
トラックに放射線検査 数値上回ると構内に入れず
2011年4月25日
「検査をしたトラックを回してくれ!」「数値を上回った車は構内に入れません」。鉄製品のスクラップと、スクラップを原料に鉄製品を再度作る製鉄メーカーの間を中心に、トラックそのものに対しても放射線検査を求める動きが広がりを見せている。
輸出する工業製品には、自治体の産業振興部署が放射線検査をする動きが国内各地で見られていることがすでに伝えられており、スクラップ業界で見られるようなトラックに対する放射線検査が広がる可能性もある。原発事故による放射性物質の広がりは「風向きだけでなく、広域に移動するトラックが媒体にならなければいいが」と、関係者は気をもんでいる。
4月上旬、近畿地方のトラック事業者は輸出品を検査する団体に問い合わせた。「トラックの放射線検査をして欲しい」。検査対象は国内で走るトラックだ。傭車したトラックを荷台が空のまま検査所に向かわせ、測定を済ませた。その後、傭車は測定結果を携えて、中部地方にあるスクラップ工場に入ってスクラップを積み、関東地方にある製鉄メーカーに下ろした。
トラックそのものに対する放射線検査の要請は、スクラップ工場から出された。事業者は、「こんな要請は今回が初めて」と話す。
関係者によると、スクラップとそれを原料にする製鉄業界では数年前から、放射線検査を済ませたものしか取引できないようになっている。具体的には、スクラップ工場や製鉄所にあらかじめ備え付けた放射線測定器の下を、スクラップが積載されたトラックを通過させ、放射線が検出されないかを測定するというものだ。一定の値を超えるスクラップは、「放射性廃棄物」の扱いを受け、受け入れが拒否される。
「東京電力福島第一原発」の事故以後、スクラップ業界では、スクラップするために受け入れるものだけではなく、それを搬出入するトラックにまで従前からある測定器を拡大適用する動きがあるという。あるトラック事業者によると、北陸地方の製鉄メーカーは、空荷状態で荷積みに来たトラックに測定器を当て、一定の値を超えると入門禁止としてしまう。トラック事業者は、「トラックの放射能汚染まで調べるようになったのは原発事故後のこと。車を回させておいて、みずから拒否するとはなんだとも思うが、自衛のためには無理からぬ対応かもしれない」と話す。
自衛の動きは、トラック事業者にもすでに現れている。スクラップ業界と取引のあるトラック事業者は、「トラックのシートなどに放射性物質が付着すると、水で洗わないと取れないという。関東以北に車を出すことは控えたほうがいいのかも」と考える。
今月4日には福島県が、8日には岐阜県の産業振興部署がそれぞれ、県内企業が製造・販売する工業製品の放射線量の測定を実施するという情報が大きく扱われた。いずれも貿易相手国からの要請があるとの理由だ。
あるトラック事業者は、「国内だけで製品が回るのなら検査の必要もないのだろうが、相手国のあること。製品を載せるトラックが検査の対象となるのは時間の問題」とみている。この記事へのコメント
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