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    本当の「運賃」とは? 緊急輸送ではっきりした適正な運賃

    2011年7月14日

     
     
     

     東日本大震災から4か月近く経つが、震災発生直後から、全国の運送事業者が国や自治体などの要請に応じ、被災地へ向けて緊急物資の輸送を行ってきた。実際にトラック協会からの要請に応じた大阪府の運送会社は、「実勢運賃よりも高い運賃に驚く同業者が多かったが、実際のところ、あの運賃が本来いただくべき適正な運賃」と話す。
     また、同社は緊急物資輸送で協力事業者に再委託する事業者がいたことを指摘。「実際にトラックを運行させた事業者が基準運賃を算出し、収受できる業界にしなければならない」とも話し、緊急輸送をきっかけに、その思いを強くしている。


     同事業者に、大ト協から緊急物資輸送の要請があったのは3月17日。自治体からの要請で大阪府堺市のコンビナートから岩手県花巻市へ、ドラム缶に入った重油を配送する依頼だった。同社は大型トラックを準備し、18日の夕刻に荷物を積み込み出発。日本海ルートで走行し、20日の朝に現地に到着。昼過ぎには任務を無事に終え、帰路についた。
     積み地から着地までの走行距離は1285キロ。同社は運賃について大ト協に尋ねると、依頼元である自治体に運賃を請求しているとのことで、金額は36万円だった。その根拠は、平成11年度運賃タリフ(距離制運賃)を元に算出したとのことで、運賃は大ト協から5月末日に振り込まれてきた。
     今回の緊急物資輸送の件を知った周囲の運送事業者は、皆一様に「高い運賃」に驚いた様子だったが、同社は「これが当たり前の運賃」との認識を示す。実はこの運送会社は、以前からデジタコを改良し、運賃・料金を計測するシステムを全車両に装着させ、時間軸と距離軸で運賃料金が算出できる仕組みを作り上げており、今回の走行では、この機器でも運賃は36万円を示していた。
     この運送会社はこの後、同じ運行形態の仕事を商社から数回受けているが、すべて26万円。これは基準運賃(運賃タリフ)の下限であったという。同社は「基本的に自社トラックを運行する我々は、この下限運賃での運行はできる」と話し、下限が最低限収受しなければならない運賃とのスタンスだ。
     同社は、発注元が自治体である緊急物資輸送で、協力業者に再委託する事業者がいたことを指摘するが、「物流企業や大手運送会社からの依頼になると、15万─17万円の運賃で依頼が来る。現在の運送業界は基準運賃で請け負った企業でも、その仕事を安価で請けてもらえる業者に依頼し、差額収益で稼ぐところが少なくない」と疑問を投げかける。
     その上で、「法令順守や安全・安心を徹底するには『基準となる運賃・料金』が絶対に必要。『震災時の緊急物資だから』ではなく、まずは各事業者が基準となる運賃・料金を把握しなければならない」とし、「現に、ト協は依頼元の自治体に運賃タリフを用いて請求している。実際に走行する事業者が基準となる運賃を算出して荷主に提示していかなければ、一向に業界は良くならない」と強く訴える。

     
     
     
     

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