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    大手から奪い返した仕事 品質に絶対の自信

    2011年11月15日

     
     
     

     長年取引していた荷主から、ばっさりと契約解除されるという話も頻繁に耳にするようになったトラック業界。「一寸先は闇」状態で安穏とはしていられない。水面下では、激しい競争が展開されており、以前は大手と中小・零細はある程度のすみ分けが出来ていたが、今は境界線もなくなり、群雄割拠して相乱れるという様相を呈している。そうした中、大手に仕事を奪われた中小事業者が、見事その仕事を奪い返した事例を取材した。


     食品輸送を軸に地元埼玉県を拠点に展開する事業者は、上場企業であるメーカーとの長年の取引の中で信頼関係を築いてきた。しかし、そんな関係に波風が立った。大手事業者が横槍を入れてきたのだ。同社社長によると、「上場企業と言えど仕事は我々中小でも賄えるもので、これまでは大手も見向きもしなかった。仕事もそれなりにあったので、お互いに領域を侵さないという暗黙の了解があった」という。
     しかし、景気低迷が続く中で状況は変わっていく。そして4年前にとうとう均衡が崩れた。大手は人脈を使い、荷主企業の物流担当者に接触、営業を開始した。
     現場から社長の耳にも情報は入っていたが、運悪く、その担当者とはいい関係を築くまでには至っていなかった。同社へも見積もり提示の依頼があったが、あくまで形式的なもので、すでにその時には決まっていた。結局、大手は荷主の物流担当者を抱き込んで仕事を奪っていった。
     「見積もりはうちの方が断然安かったと、後で現場の担当者が教えてくれた」というが、「袖の裏を巧みに使って担当者を抱え込まれた」と当時を振り返る。
     その荷主企業とは別の部署でつながっており、仕事は細々だったが続けていた。臨機応変に対応し、小回りの利くサービスを心がけていた。「輸送品質を上げるということに力を注いだ」という。
     仕事を奪った大手といえば、輸送はすべて傭車で賄っており、自社は単に仕事を流すという手数料商売をしていた。「品質は絶対に負けない自信があった」という社長。そんな同社に昨年、朗報が届く。荷主の物流担当者が転勤したのだ。
     「風向きが変わるかもしれない」。予想通り、荷主企業の担当者が交代すると、同社への仕事依頼が徐々に増えてきたという。
     「傭車を使っているのでミスも多く、また、緊急の対応もできなかった」ようで、緊急性の高い仕事はすべてまわってくるようになった。そして、今年に入って見積もりの再提示の依頼が届く。それとともに大手から仕事を切り替えるという内諾を受けた。4年前に奪われた仕事を見事奪い返したのだ。
     社長は、「大手に仕事を奪われても腐らずに、細々とはいえ、荷主企業と取引関係を続けていたことが今回の結果につながった。絶対に負けたくないと、輸送品質の向上に努めたことが大きかった」と話している。

     
     
     
     
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