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    成長のため仕事任せたものの 思惑と違う方向に

    2011年12月21日

     
     
     

     「会社を伸ばすためには、しっかりとした組織を作らなければならない。そのためには、まず人を育てなければならない。人を育てるには仕事を任せなければならない」。そんな気持ちで、従業員に仕事を委ねた。しかし、いざ蓋(ふた)を開けてみると、社長の思惑とはまったく違った方向に向かっていた。急ぎ、経営の一線に戻り陣頭指揮を取り始めた社長は、「人を育てるのは本当に難しい」とこぼしている。


     首都圏で雑貨輸送を手掛ける事業者は、社長自ら陣頭指揮を取り、会社をまとめてきた。業績も順調に推移していたが、あるとき限界を覚えた。「社長が動いていては、これ以上、事業拡大は望めない」と感じ、それ以降、従業員に仕事を任せていったという。
     しかし、いざ任せても、「会社にいればついつい口を出してしまう」ということから、会社を不在にすることが多くなった。仕事のトラブルもなく、順調にいっているはずだったが、社内の雰囲気は少しずつ変化していた。
     違和感を覚え、会社に顔を出すようになり、しばらく様子をうかがっていた。そして、管理者とドライバーのやりとりを見て、「これはいかん」と危機感を抱いた。
     体調を崩したドライバーが急に休んだ。その仕事を埋めるため、管理者が対応に迫られたが、結局、誰も代わりを探せず自らトラックに乗り仕事をこなしていた。翌日、体調不良から回復したドライバーは、前日のことなど何もなかったように出社し、仕事に出発していったのだ。管理者も、そのドライバーに何も言うことなく、出発させていた。
     社長はがまんできず、口を挟んだ。管理者を呼んだ同社長は、「なぜ、ドライバーに何も言わないのか」とただした。体調不良とはいえ、突然の休みで会社に迷惑をかけたのだから、ひと言ぐらいあってもいいだろうというのが社長の考えだった。管理者はただ、「病気だから仕方がない」と考えていた。「休んだことを指摘しているのではなく、休んで迷惑をかけたことに何も感じないのか」ということが、社長にとって大きな疑念だったのだ。
     管理者とともにドライバーにも話をしたが、「仕事を任せることの怖さを知った。『昨日はすみませんでした』のひと言が、なぜ言えないのか。常識を疑う」と指摘する。「そんな相手を思いやれないような人間が、顧客の仕事をしっかりとこなせるわけがない」とし、社長自身が一線に戻り、一から教えていくことを決めた。

     
     
     
     

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